谷裂*雨(1) ページ42
今日は非番なのに雨。ショッピングに行こうと思っていたが、めちゃくちゃ降ってるのでこれでは行くのが大変そうだ。
…こう雨だと気分が下がるし、何より雨は嫌いだ。
ジメジメするし、どこも出かけれないし、出かけても濡れるし。
暇だ。今日は館に誰もいない。
……図書室にでも行って本でも読もう。
図書室の扉を開けても誰もいない。
…そういえば、この館に誰もいないというのは初めてかもしれない。
キリカさんやあやこさんも今日は用事で来れないと言っていた。他のみんなは任務だし、肋角さんと災藤さんも閻魔庁に行っている。
静かだ。
適当に本を取ってソファに腰をかける。
タイトルは『トラウマ』
適当に取ってしまったものは雨で憂鬱なものをさらに憂鬱にさせてしまうような本だった。
だがもう立って替えるのも面倒くさく、その本を開く
『___トラウマとは。
心的外傷。外的内的要因による肉体的及び精神的な衝撃(外傷的出来事)を受けた事で、長い間それにとらわれてしまう状態で、また否定的な影響を持っていることを指す。』
『トラウマは色々な場面からできてしまう。事故、性的被害、戦争、虐待、パワハラ、セクハラ、DV、大自然の災害など。心的外傷が突如として記憶によみがえりフラッシュバックするなど、特定の症状を呈して持続的に著しい苦痛を伴えば急性ストレス障害であり、一部は1か月以上の持続によって心的外傷後ストレス障害 (PTSD) ともなりえる。』
物語性がなく、淡々とそれについて綴られているだけなのに
どうして本のページをめくることを止められいのだろうか。
私が死んだ日は雨の日だった。
今日みたいな、土砂降りの雨の日だった。
今日みたいな土砂降りの雨だったから
トラックがスリップを起こしてしまったのだ。
誰も悪くない。仕方の無い事だった。
運転手の人も亡くなってしまった。
これはただの事故なのか、それとも自然災害となるのか。
息が詰まる。
目眩がする。
頭が痛い。
手が震える。
流れる血。
だんだんと冷めていく体温。
狭まっていく視界。
あぁ、この感じ。
1人ぼっちで朽ちていくこの感じを私はよく知っている
私がその場から立てないでいると、
「赫坂か?」
低い声をした紫色の瞳をした彼が私に声をかけた。
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作者名:ある人 | 作成日時:2021年1月15日 0時