episode 12 ページ12
「二人ともダメか……」
ジャスワントもジムサも彼らの言葉が分からないと知れて、アルスラーンは困った。
その隣ではダリューンがナルサスにチクチクと嫌味を言われている。
「やはりお前は脳まで筋肉なのか？なぜ陛下の静止を聞かずに突っ込んだ？」
「うるさいへぼ画家。俺は強者の気配を感じたんだ、だから、陛下に何かある前にと……」
「陛下は我らを呼ぶ前に、既に彼らに会っていたのだぞ、今更遅いわ。……というか陛下、なぜそばに誰もつけずに歩いていたのですか」
「いや〜、はは……」
アルスラーンは目を泳がせた。微行はいつもは黙認されているが、しばらくは無理そうだ。
話を変えてみることにする。
「ギーヴ、ギーヴは、いろんな土地を巡っているのだろう？彼らのような人々に見覚えはないか？」
「ありませんね。」
女性がいない(短槍の女は手を出せるような相手ではないと悟ったらしい)ので、ギーヴは興味を示さない。
するとアルフリードが、
「でもあの人たちのような人、何だか、最近見たような……」
エラムも頷く。
「私も、何か覚えがあるような気がします」
だが二人とも、なかなか思い出せない。
するとファランギースがさらりと、
「ユグノではないか？」
「ああ！」
二人は納得の声を上げる。
アルスラーンも思い出した。数奇な運命を辿った少年と、短槍使いの女用心棒の話を。
「ユグノはまだいるか！？」
「はい、城下に滞在中のはずです」
「急いで呼んできてくれ！」
『陛下は、かの帝と大変良い友人となれるやもしれませんね＿＿』
ユグノの言葉を思い出し、アルスラーンはわくわくしていた。
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作者名：桃侑�� | 作成日時：2019年5月25日 23時
