そして、少年王らは出会った。 (ページ2)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:8,755 hit

episode 2 ページ2

翌日。

執務の休憩中、ちょうどエラムと二人になったときのこと。

「なあ、エラム。新ヨゴ皇国は、絹の国〈セリカ〉よりも遠いと言っていたな。地図にはなっているのだろうか。」

「＿＿気になっておられるのですね。」

エラムは苦笑しながら地図を引っ張り出しに行った。

そう、アルスラーンは気になっていたのだ。ユグノの、あの言葉が。

『もしかすると、陛下は、かの帝と大変良い友人となれるやもしれませんね』

歌物語に語られていた帝＿＿皇太子チャグムは、なんだか他人事のような気がせず、親近感が湧いたのである。

「ありましたよ、陛下、地図。」

エラムが大きな地図を持ってきた。

「えーっと、絹の国〈セリカ〉よりさらに向こう側……に、ああ、ありますね、二つの大陸。
新ヨゴ皇国は、ああ、これですね。」

エラムが指差したのは、絹の国〈セリカ〉よりはるか東にある大陸にある国だった。

「……遠いな。」

「遠いですね。」

絹の国〈セリカ〉ですら、何ヶ月もかかる先にあるのだ。まして、そこからさらに海を越えて行かなければならない国など、関わることはまずないだろう。

(残念だなあ……。チャグム帝は、わたしと同じ歳だという。ぜひ会ってみたかったのだが……)

「ほら陛下、休憩は終わりです。公務の続きをしたください！」

アルスラーンは諦め、公務に戻った。

自分と彼の運命は、交わることはなかろうと。

しかし、彼らを取り巻く歯車はすでに回り始めていた。