09*電話向こうのキミと、寄り添うキミ ページ10
黒尾side
部室の鍵を返しに職員室に向かってる途中震えた携帯には、珍しい着信。
緩む口元を手で隠し、回れ右して一度外に出る。
「もしもし、電話なんて珍しい。どしたの?」
[聞いてよ、てっちゃん!]
鈴がなるような軽やかな声は男女の縺れを淡々と話す。愚痴の電話か。
その先輩も目立つであろうAちゃん手を出すなら、身辺整理してからにしろよ。あれだけ可愛いんだ、誰かに取られるんじゃないかって焦ったのか。それともどちらとも上手くやろうとしたグズ野郎か…
「ただ、俺としては可愛いAちゃんには、ちゃんと人を見極めてから付き合ってほしい訳ですよ。
男なんて引く手数多でしょ?ちゃんと好きになってから、自分を大切にしてくれる野郎を選んだほうが良いんでない?」
[好きになる、ね…好きになるって難しいよね。
この人なら大事にしてくれそ!ってその時は思うのだよ?]
この子、まともな恋愛してねぇな…
そう感じるも言葉には出来ず。引く手数多で好きにならなくても相手から好意を寄せられて来たのだろうな。
「初対面でオッケーとかしてるんじゃないの?」
[……あはは。
あ、そうそう。遊びに行く日8月◯日頃になりそうなんだけど大丈夫??]
笑ってごまかしてんなぁ。
そばに居ない俺がどうこう言えるもんじゃないから仕方ない。
「こっちもそのあたりから部活休み入るから大丈夫だと思うが、夜久達にも聞いておくよ」
やった、ありがと♡なんてハートが付きそうな語尾と、耳元で感じる甘い声に「んん"っ」となりながら電話を終えた。
手当たり次第にモテるってどんな感じなんだろうな…
きっとおいかー君もそんな感じなんだろうな。
再び校舎に戻り部室の鍵を職員室に返し、家路につく。
家の前には中学のときから付き合っている彼女がいて、嬉しそうに駆け寄るから部屋に通した。
高校は違う。穏やかで控え目な子。
高校の友達には言う意味は無いと思って言ってない。隠している訳では無いけど。
俺がやってる事も、彼女には不誠実な事なんだろうな。
「どうかしたの?」そう言って見上げる顔が待っている物を、気付かないフリして「何でも無いよ」と頭を撫でた。
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モカ(プロフ) - ぽぽさん» コメントありがとうございます🩷全部読んで貰えて嬉しいです!映画見たら再熱して久しぶりに帰ってきました😄もだもだしてる恋愛話になりますが、お付き合い頂けると有り難いです✨ (3月4日 20時) (レス) id: 82c75c460a (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - 文章がおかしくなってしまいすみません🙇♀️陰ながら応援しています!! (3月4日 18時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - コメント失礼します。モカ様のHQの作品に魅了されて2、3年前にすべて読破しまして、見覚えあるタイトルに惹かれて拝見したらモカ様の作品でとても驚きました ; ; 今作も大好きです😽💖 (3月4日 18時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モカ | 作成日時:2024年2月28日 10時