黒尾さんと可愛い方の及川さん♡

08*三角関係だったっぽい？ ページ9

夏休みが始まり、部活のメインは2年生と１年生の新体制に入れ替わった。
それに伴い13番のユニフォームも貰え、もっと頑張ろう。正セッターになってやる！と意気込んだ。


｢A〜帰り、アイス食べて帰らない？｣
｢ごめん〜、今日は先輩と帰るの｣
｢オッケ、じゃあまた今度食べに行こ｣

部活の帰りは勉強しに来ていた彼氏と一緒に帰る約束をしていたから友達に断りを入れ、待ち合わせ場所に向かうと既に待っていてくれた。

｢遅れてごめんね｣

私を見下ろす赤を差した顔に微笑返す。差し出された手に自分の手を重ねて帰ろうとするも、後ろから彼氏の名前を呼ぶ声。

｢…何、してるの？なんで及川Aと手なんか繋いでるの？｣

｢いや、これは…
悪いけど、俺はAちゃんが好きだから｣

声をかけてきたのは2年か、3年か…知らない女子がキッとこちらを睨んでくる。どういう関係だと彼氏を見上げるも焦ったように目が泳いでる。

｢アンタ…入学してから男引っ返え取っ替えして、今度はアタシの彼氏に手を出したって訳ね。最低!!｣

あ、間に合わない。勢いよく肩を押されて、尻もちをつく。
おしり、痛い。

｢オイ、何してんだよ！…大丈夫、Aちゃん？｣

心配そうな彼氏が私に手を差し出す。
いや、大丈夫？ってキミのせいでこの状況になってるんじゃない？
差し出された手を振り払い、ゆっくりと立ち上がり乱れた髪を手直しする。

｢二股野郎最低。
もう話しかけてこない下さい。｣

睨んでから背を向けゆっくりと歩き出すも、後ろから聞こえる痴話喧嘩がうるさい。おしりも痛いし。
自分でも思うけど、私の男運はずっと最悪だ。


ポケットから取り出した携帯で通話ボタンを押す。
４コール目に繋がり聞こえた声に今日の出来事を愚痴った。


[彼女居るのにAちゃんに手を出した野郎が１番悪いし、おしり痛いのも可哀想だけど。
Aちゃんは？その彼氏…元彼の事ちゃんと好きで付き合ったの？]

｢告白されて顔が良かったからとりあえずオッケー的な…？｣

電話越しから聞こえたてっちゃんの溜め息に、何だか私が悪いことでもしたかのように感じる。
悪くないよね…？悪い？

[Aちゃんは可愛いでしょ？]

｢うん、可愛い。自信ある！｣

[お兄さん的にはそう言う自覚してる所、すごく良いと思うよ？]

｢ありがと♡｣

[ただ…]

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