43*残り香残して君はゆく ページ44
黒尾side
冷静さを保つのに必死だった。マジで。
ノリが良いと自負しているが、ノれるものじゃない。
口元を毛布で隠し、こちらを見上げる眠そうな瞼。
目が合い、頬に触れて、柔らかく子供みたいに笑うからまた落ちて行くことにお嬢さんは気付いてないんでしょうねー。
今が幸せ過ぎて、明日にはドッキリでしたーなんてまた意地悪く純粋な顔で笑われるのかもしれない。
なら、やってしまった方が良いのでは?
身体を重ねれば少なからず、俺はコイツの中で忘れ難い記憶になる。邪なのは俺の方も同じだ。
それより何より、あの彼氏が何人も代わる軽薄なAが誰とも経験が無い事に驚きを隠せない。
正直な話「経験人数は両手じゃ数えられないよ〜」なんて笑われる気しかしなかったので、こっちは!
「同じ布団に入って言うのもアレだが、付き合えたらお前の事本当に大事にする。今でも大事には変わりないが、もっと」
宝物みたいに大切にしたい。
歯が浮きそうなセリフも、ノリノリで言えるが、今は違う。
伸びてきた手が俺の頬を撫で、そのままぎゅっとくっついてくるから、柔らかさとか匂いとか。嬉しいけど、ちょっと待って貰いたい。
「もう少しだけ、考えて良い?
今度はちゃんと真剣に考えるから。
だから、嫌いにならないで?」
「好きなままで居て?の間違いでは?」
「それを言ったら私、嫌な女過ぎない?」
「あー…まぁそれは今更なのでボクからは何とも。」
「もう!」
進展も発展も無い。
そう思っていた数時間前の俺。
もう少し待ったらボーナスタイムが来るかもしれない。
眠そうな瞼に「寝て良いよ」と伝えると「ここに居てね」
そう言ってゆっくりと眠りの淵に落ちるAにキスを落とし、寝ようと思うも、この状態ですんなり寝れはせず。
*
翌朝はAを抱き締めていた事で寝癖は付かず
「本当に寝癖だったんだね」と頭を撫でられ、
一緒に春高を見に行く約束をしていた研磨の何とも言えない嫌そうな顔。
夜久にも「やればちゃんとした頭出来んじゃん」とお褒めの言葉を頂き、何故かにっこりする海も嫌で。
AはAで腕を組んだまま隣に居て、バスの時間までずっと楽しそうで。
「次は来れたら春休みかなぁ」
ここ最近の見送る泣きそうな顔は無く、笑顔で手を振りバスに乗り込んで行った。
幸せ過ぎた反動で俺は寂しい。
「付き合ったの?」
「付き合ってません」
「ふーん。よかったね」
「なにが?」
「抗い始めて?」
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モカ(プロフ) - ぽぽさん» コメントありがとうございます🩷全部読んで貰えて嬉しいです!映画見たら再熱して久しぶりに帰ってきました😄もだもだしてる恋愛話になりますが、お付き合い頂けると有り難いです✨ (3月4日 20時) (レス) id: 82c75c460a (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - 文章がおかしくなってしまいすみません🙇♀️陰ながら応援しています!! (3月4日 18時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - コメント失礼します。モカ様のHQの作品に魅了されて2、3年前にすべて読破しまして、見覚えあるタイトルに惹かれて拝見したらモカ様の作品でとても驚きました ; ; 今作も大好きです😽💖 (3月4日 18時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モカ | 作成日時:2024年2月28日 10時