37*向けられる気持ちに ページ38
東京で会えるのは変な感じ。
英太君は中学の時に塾が一緒になって仲良くなったマブダチ。珍しく恋愛的な絡みにも成らず、純粋に友達で居てくれる人。
「A!?…まさかここに居ると思わなかったから驚いた。及川と来たのか?」
「んん、東京の友達と一緒。春高来てみたかったから冬休み利用して観戦しに来たの」
「そっか。俺は出るかわかんねぇけど応援よろしくな」
白い歯を見せて笑い、片手を挙げてチームの元に戻っていく。こちらも手を振り、壁に背を預けているてっちゃんの側に向かう。どうやらぼっくん達も自分の学校の方へ行ったらしい。
「迷子になってないよ」
「ちゃんと見てたので迷子にはさせません。
それより、英太君?すっごいイケメンだな」
「イケメンだよね〜、そんで性格も良過ぎる。
…ただ私服がね、似合うんだけど残念なんだよね〜」
珍しくあちらから繋がれる手に階段を登り応援席。
とりあえずノープランで来てるから、パンフレットとにらめっこ。
「どこ観たい?」
「ぼっくんたちは観たい。白鳥沢と、TVとかで有名な稲荷崎も観てみたい。てっちゃんは?」
「俺は梟谷と、同じ東京なんで井闥山学院かな。
なら最初は…」
捲るパンフにはそれぞれの写真や名前が書いてあり、次はここに徹や岩ちゃんが載るのが楽しみだ。
携帯で時間を確認するてっちゃんに、さっきのぼっくんの言葉を思い出される。
「ねぇ、てっちゃんの待ち受け。」
「………」
「見たいなぁ♡」
無言の何とも形容し難い表情がおずおずと携帯を見せてくれる。去年のクリスマスかな…満面に笑う可愛い私がそこには居て、キュンとしちゃうじゃない。
フフと笑い、てっちゃんの肩に自分の頭を預けるもなにか言いたげな視線が向けられている。
「分かってもらえます?年に数回しか会えなくても、気持ち変わらずに誰に向いてるか。」
「…ん。ありがと」
「…っ、…なんか飲み物買ってくるわ。Aは?暖かいのでいい?」
「私も行くよ」
「いーや、もうすぐ試合始まるから人も増えて来たし、席無くなるかもしんねーからここで待っててな。」
頭にポンと置かれた手と、少し、下げた眉。
客席の階段を一歩2歩と上がっていく後ろ姿。
好かれている事に浮かれた。
付き合いもしないくせに。
また躱して、悪いことをした、かもしれない…
片想いは辛い。
誰かが言っていた言葉。人の気持に疎い私はこれまで何人踏み躙ってきたか。
好きだから付き合ってあげる。なんて傲慢だ…
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モカ(プロフ) - ぽぽさん» コメントありがとうございます🩷全部読んで貰えて嬉しいです!映画見たら再熱して久しぶりに帰ってきました😄もだもだしてる恋愛話になりますが、お付き合い頂けると有り難いです✨ (3月4日 20時) (レス) id: 82c75c460a (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - 文章がおかしくなってしまいすみません🙇♀️陰ながら応援しています!! (3月4日 18時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - コメント失礼します。モカ様のHQの作品に魅了されて2、3年前にすべて読破しまして、見覚えあるタイトルに惹かれて拝見したらモカ様の作品でとても驚きました ; ; 今作も大好きです😽💖 (3月4日 18時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モカ | 作成日時:2024年2月28日 10時