32*狡すぎるから欲しくなる ページ33
黒尾鉄朗side
少し遅めの昼飯を食べ、満開の笑顔が楽しそうに話していて。それだけで今この世界で俺が一番幸せなんじゃないかと錯覚すらさせる。
長期戦上等と言ったが所詮は俺もピチピチの高校1年生な訳で。
「なぁ。俺と付き合わねぇ?」
口から出た言葉に内心自分も驚くが、A本人も大きな瞳を更に開いたあと、難しそうな顔をして俺を見ていた。
きっといい返事は貰えないんだろう。
「…なーんてな。今すぐにどうこうなりたいって思ってないから気にすんな。
俺はそこら辺のチャラいお兄さんたちと違って、Aの事が本気で好きなんでそれだけは覚えてて?」
「…うん、ありがと。
ズルいこと、言ってい?」
前から思っていたけど食事の所作がキレイだったり、靴を脱ぐ時も揃えたり、姿勢が良かったり。これはおいかー君もなんだが、育ちの良さを感じていた。そんな所も良いなと思わせる。
「てっちゃんはさ、一緒にいて話して楽しいの。甘やかしてくれるし、私の事も大切に想ってくれてるのも伝わるの。
…もし同じ学校なら、すぐ会える距離ならって思ってしまう。」
「遠くに居て、滅多に会えないから付き合えないよな。」
「…うん。私ズルいからてっちゃんが帰ったら、会えなくて寂しくて、他の男の子と付き合ったりもすると思う。」
付き合うのかい。そう突っ込もうとしたが、Aがあまりにも真剣に言葉を選んで話していた。
こんなに真面目な顔もするのか、改めて造形の良さに魅入ってしまう。
「…嫌いにならないで?」
伏していた瞳は潤みを携えて俺の目を真っ直ぐに見る。
本当にズルい事を言う彼女が憎くて愛おしい。
嫌いにならないで?じゃない。
好きなままで居て?の間違いだろ。
愛される術を知り尽くしているのか、俺の気持ちを知ってるからこそ言える言葉。惚れた方の負けとは良く言ったものだ。
「今朝さ、俺寝てる時に抱きついて来たじゃん?あれは俺の良いように解釈して良いよな?」
「寝たふり?それとも起こしちゃったかな?
今の私の事はそう解釈してくれていいよ」
好きの一言を言ってくれない、付き合う気もない。
狡い女。狡くて可愛い女。
それでも欲しいと思ってしまうから重症なんです。
残りの時間は寄り添い、合流したおいかー君達も交えて終始笑って過ごした。
帰りの夜行バス。乗り込む時に抱きついて来て「またね」と言う声が震え、泣き出しそうな顔に見送られるから胸が焼け焦げる匂いがした。
33*遠距離恋愛についての話し合い→←31*このまま。なんて有り得ないから
181人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モカ(プロフ) - ぽぽさん» コメントありがとうございます🩷全部読んで貰えて嬉しいです!映画見たら再熱して久しぶりに帰ってきました😄もだもだしてる恋愛話になりますが、お付き合い頂けると有り難いです✨ (3月4日 20時) (レス) id: 82c75c460a (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - 文章がおかしくなってしまいすみません🙇♀️陰ながら応援しています!! (3月4日 18時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - コメント失礼します。モカ様のHQの作品に魅了されて2、3年前にすべて読破しまして、見覚えあるタイトルに惹かれて拝見したらモカ様の作品でとても驚きました ; ; 今作も大好きです😽💖 (3月4日 18時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:モカ | 作成日時:2024年2月28日 10時