黒尾さんと可愛い方の及川さん♡

31*このまま。なんて有り得ないから ページ32

お昼を食べようと歩いているがクリスマスだからか、デート中の若者が多くて仙台のアーケード街はいつも以上に賑やかだ。

｢迷子にならないでくださいね？流石に仙台でなられると探すのにちと苦労しそうだな｣

｢仙台ではならないよぅ！｣

楽しそうに笑ってるし。繋がれたままの手を腕を組む形に変え、寒さもあるから両手でくっつき見上げた。
仙台にてっちゃんがいる。いつも友達と歩く道に居る事が不思議で仕方ない。
今日、帰ってしまうと次に会えるのは早くて春休み。

｢デートだったから、可愛くしてんの？｣

｢クリスマスで気分上がってたし、てっちゃん帰っちゃうから可愛い格好でお見送り行こうと思って。お気に入りの服なの｣

｢……はぁ…帰りたくねぇなぁ。
すっげぇ可愛い。｣

盛大な溜息混じりに見下ろす瞳に私が映る。
ここまで私を好きになってくれた人っていたかな。
顔が可愛いから、付き合いたいとかは思われてた。
触りたいから帰したくないって下心込みに見つめられる事もあった。

…私も、帰ってほしくない。
言いたい言葉を飲み込んで柔らかく笑って見せた。


｢てっちゃん帰ってこないと研磨が淋しいんじゃない？
よくオンラインゲーム付き合ってくれるけど通話するとてっちゃんの事を話してるよ｣

夏に会って以来研磨とはゲームで繋がっている。
勝てないボスから落ちるアイテム欲しいと言えば周回を手伝ってくれたり、あちらはレベル高いから倒してもくれた。お陰でこちらもレベルが上がり半年でだいぶ強くなった！

｢待って。研磨？｣

｢うん！最近は受験勉強してるじゃん？その息抜きに一緒にボス倒してる！｣

｢聞いてないんですけど。｣

｢てっちゃんあんまりゲームしないでしょ？｣

｢…まぁしませんけど…。｣

｢研磨は私の師匠なの。｣

｢どうりでこの半年連絡少ない訳だ…｣

｢それもあるけど、彼女いたと思ってたから避けてた｣

東京の黒髪彼女。
私が可愛い自覚はあるけど、彼女持ちと親しくするのもどうかと思ってた。
…何より彼女居るくせに私にも優しくて思わせぶりな事ばっかりされたのがちょっと悔しくて。悲しくなってしまったから連絡したくなかった。

あと、可愛くないくせに。って言われたのがムカついて｢可愛い｣って言ってくれた男と付き合ったり別れたりを繰り返した自覚はあります。自己肯定感上げたかったのかな…うん。


｢Aって意外に律儀なのな｣

｢…まぁね！｣


感心してるような顔、やめてください！

32*狡すぎるから欲しくなる→←30*優しい彼と比べてしまうんだ…

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す