黒尾さんと可愛い方の及川さん♡

12*シスコンじゃねーし ページ13

及川徹side

｢A居なくね？｣

岩ちゃんの声に振り返れば小さな姉の姿はない。あるのはクロちんが引くキャリーだけ。
鳴った携帯はクロちんのもので本人からのヘルプコール。
俺にも２分前に不在着信が入っていた。

｢おのぼりさんは東京で浮かれちまったか？｣

笑うマッキーに、通話を終えたクロちんが｢俺迎え行ってくるわ。コレだけ預かっててくんない｣とAのキャリーケースを置いて来た道を戻っていった。

｢黒尾が付いてるなら大丈夫だろ。俺等は先に飯に行くか？｣

やっくんの声で進み出すけど、心配でクロちんと一緒に行けば良かった。そもそも１番小さいアイツを皆の真ん中に置いておかなかったのが敗因だ。


｢…A、方向音痴だしボケっとしてるから…｣
｢大丈夫、ほら、A発見って写真送られて来てるよ｣

海君の声に携帯を開くと変な像の前でしょんぼりした顔のAがいて、肩を撫で下ろした。

｢見つかって良かった｣
｢迷惑掛けてごめんね。｣
｢気にすんな。黒尾なんて役得だって内心思ってるはず｣

それはそれとして俺は複雑で[Aと店見て回るから飯食って、体育館先行っててくんない？]と…クロちん…


｢及川シスコンだから。｣
｢シスコンだろ/だな｣

｢シスコンじゃねーし！もう、飯行こ！東京のうまいもん食っちゃお｣


*

｢迷子になってごめんね。
あ、私のキャリーは岩ちゃん持っててくれたんだ。ありがとー｣

皆にはぐれた事を謝る姉にホッとした。

体育館の受付でシューズと膝当てを借りたAは余程楽しかったのか上機嫌にニコニコした顔でやってきた。
隣のクロちんに手を繋がれて！手繋いでるじゃん！！


｢着替えるよな？更衣室案内するから｣
｢看板あったから１人で行けるよ〜｣
｢いーや、お兄さん信用できないんで。｣

仲良しかな？仲良しだよね。毎日メールしてたし。
遠恋はしないだろうけど…アイツ基本心許すとかなり甘えるし。最近はまっつんにも甘えるけど、手は流石に繋いでない。

｢及川君、顔やべーな｣
｢シスコンだからな。
バレーもしたいけど大好きな姉と東京観光もしたかったんだろうな｣

｢だからシスコンじゃねーし｣

バチンバチンと床にボールを打ち付け、ジャンプサーブするもやっくんに体制を崩しながらも取られるから悔しい。

着替えて戻って来たAは｢徹どんまーい｣なんて呑気な声出してくるし！

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