浮気されてるので浮気しました。[HQ]

40*甘い甘い果実に噛み付いて ページ41

甘くて切ない声が私の名前を呼ぶ。
こんなに近い距離にいるのは久しぶりの気がした。


｢どうしたの、英。
試合、残念だったね。｣


｢…うん。
お前の顔見たくて待ってた。｣


ハの字にした眉と悔しそうな顔を見せたあと、私の肩に顔を埋めるから、サラサラの髪を撫でた。
まさか待っているとは思わなかったから、かなり驚いたけど甘えられる事に悪い気はしなかった。

何よりこの人には浮気相手としてずっと支えられているから。


｢学校だから、外行こ？
駅まで送っていく？｣


｢何それ。俺が送られるとか格好悪いんですけど。
送ってくから｣


｢…ありがと。｣



負けて悔しくない訳がない。
なにか美味しいものを作ってあげよう。そんな事を考えつつ、引かれる手にゆっくりと家路についた。


ご飯を食べ、何となく…今日も泊まるのかなと思っていればやはりそうらしく。


ポケットの携帯には及川さんからの連絡は何も無い。


部屋で以前貸した本の返却をされるからほっこりしてしまう。
あんな事があったけどちゃんと読んでくれたんだ。



｢今日は？なにか持っていく？｣


本棚を物色していると影が出来る。
すぐ後ろに英が立っているから…


後ろを振り返れば、頬に触れた手がゆっくりと動く。


｢俺ってまだAの浮気相手だよな。
キスしてもいい？駄目って言われてもするけど。｣


唇を割って、舌をねじ込まれるも慣れてしまったそれを私は受け入れた。

息とか、声とか、全部飲み込まれていく


一度目が合うと、体を抱きかかえられ…
そんな事より英細いのに力持ち！とか余計な事を考えている間にベッドに乗せられ、のそりと私の上に乗った。



｢これからは及川さんと仲良くやっていけそう？｣


｢…どう思う？｣


｢知らねぇ。
俺が…用済みなる前に…良い?｣


.

41*理性も知性もどこかに捨てた→←39*女の子はしたたかに。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す