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「そんなに涼介が欲しい?どんな手を使って取り入ったか知らないけど、血は水より濃いってね。あのガキも侮れないわ」
言い返したい言葉を飲み込んで膝をついた。
渋られても了承を得るまでは絶対に引き下がらない覚悟で。
「いくら出す?」
有「…」
「金でやるわよ」
涼介に聞かせたくない会話。
けど、聞こえてしまっているのは明らかだった。
有「涼介は物じゃない」
「そんなのきれい事ね。所詮こんな親の子供よ。まだ利用価値があっただけマシじゃない。
どうせその辺に転がってゴミみたいに生きてるだけなんだから」
この家から出ても涼介の過去も母親への思いも全て傷のままで瘡蓋にも成ってくれずに簡単に血を流すだろう。
母親は息子だと思っていない。いなくなれば思い出すこともない。
涼介は一生抱えて生きていくことになるのに無責任だ。
「金を払えばあんたが何をしようと文句はないわ。
それともゴミと対等の価値に金は払えないかしら」
悲しいってこういうこと。
“ゴミみたいに生きてる”
…あぁ、そういうことなんだ。
有「…僕は貴方がしてあげたくて出来なかったことを代わりにするまでです」
「…してあげたかったこと?」
有「貴方は息子さんを傷付けたかった訳じゃないはずです」
“所詮こんな親の子供”
自身の劣等感の強さを垣間見た。
だから分身とも言える子供に手をあげたのかもしれない。
断じて許されないけど、この人も暗い道をひたすら歩いてきて救ってくれる人が訪れないままここにいる。
自分が嫌いでどうしようもない気持ちは俺にも分かる。
「あの子を可愛いと思ったことはないわ」
有「赤子の涼介にミルクをやってお世話をしたのはお母さんですよね?
だからこの前の誕生日で17歳になったんですよ」
「前の男に全部むしりとられて子供が出来たらとんずらよ。
生まれてきたとき私が親なんて可哀想って思ったわ。
ミルクなんか夜中に煩く泣くからやっただけ。
苦しめたいのか馬鹿にしているのかそれだけであの子は笑ってた…」
何も信じられなくなっていたから、母親の愛に喜ぶ子の笑顔まで歪んで見えていたんだ。
このまま勘違いしたままでいいのか?一度も向き合えなかった親子の最後のチャンスなんじゃないのか?
有「…おいで。今なら何でも話せるんじゃないかな」
母親が“何だ?”って目で見てる。
サッシの擦れる音と共にカーテンが風で揺れた。
山「…」
「…涼介」
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夢莉(プロフ) - すらささん» すらささん、初めまして!お返事遅れましてすみません。お兄ちゃんっぽいカッコいいところが書きたかったんです!伝わってると嬉しいです(^^)ありがとうございます! (2019年7月14日 19時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
すらさ - 大ちゃんヤバかっこいい! 作者さん天才ですね!大好きです! (2019年7月3日 19時) (レス) id: 83dcd98d4d (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - JUMPLOVEさん、お越しいただきありがとうございます!好みのお話で良かったです(^^)頑張ります〜! (2019年7月2日 17時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - この手のお話がとっても好みで、ありやまなのがほんっとにたまりません!!!応援してますので、更新頑張ってください!!! (2019年7月1日 1時) (レス) id: f4e667ae46 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - くるすけさん» くるすけさん、初めまして(^^)ありがとうございます!頑張らせていただきます!! (2019年5月18日 21時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
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