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二人でささやかなお祝いをした日から数日。
いつも通りバイト先へ向かって歩いていると忘れ物をしたことに気付いた。
有「…やべぇ、財布忘れた」
来た道を戻ると数分前にはいなかった厳つい顔をした男が壁に寄りかかり誰かと電話をしていた。
今日はツイてないと重くなる気分。関わるつもりはないし素通りしようとした俺に突然その男は立ち塞がった。
有「…え、と…なんですか?」
「ちょっと話そうか」
カツアゲとかされそうな類いのヤバそうな雰囲気。
相手は一人だし逃げるタイミングを図る。
「お前、ガキ誘 拐してるんだろ?」
有「!…な、っ…何のことですか…」
「とぼけんなよ。ガキは何処にいる?」
こいつの目的は涼介。
でも何故…。
有「貴方は誰ですか」
「あ?んなのどーだっていいんだよっ!さっさと答えた方が身の為だ」
なるべく気をたてないように距離をとる。追いかけられても捕まらないように人通りの多いルートまで走ろう。
有「…全く何を仰られているのか分かりません。人違いじゃないですか」
「ホォ…随分威勢がいいな」
しかし、考えが甘かった。
コツコツ、嫌な音を背後に感じる。
「コイツだろ?」
「…そうね、」
有「あんた、涼介のっ…」
さっき連絡を取っていたのもこの女だったのか?
涼介をぞんざいに扱っていたくせにこんなことまで。
「一緒に来てもらおうか」
有「なにすっ、、!」
女に気をとられている間に詰められた距離で羽交い締めにされ、近くに止めてあった車の後部座席に無理矢理連れ込まれた。
有「何処に連れていく気だ」
「さっさとガキの居場所を教えれば帰してやるよ」
後ろ手に縛られてしまって逃げることはできなくなった狭い車内には女のキツい香水の匂いが充満して吐き気がする。
「ガキの分際で手間かけさせやがって。どこまで親不孝なのかしら」
助手席で余裕そうに足を組み煙草をふかし涼介を悪く言う女に怒りは頂点に達した。
俺にとって不利な条件しかないが黙っていられるほど大人じゃない。
俺にも涼介にも感情があるんだ。
有「お前は涼介の親じゃない」
「は?」
有「息子がいなくなったって心配の一つもしなければ、自分の手足が無くなったことに憤ってる。
涼介はあんたの奴 隷じゃない!!!」
そう叫んだ瞬間、車は急停止した。
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夢莉(プロフ) - すらささん» すらささん、初めまして!お返事遅れましてすみません。お兄ちゃんっぽいカッコいいところが書きたかったんです!伝わってると嬉しいです(^^)ありがとうございます! (2019年7月14日 19時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
すらさ - 大ちゃんヤバかっこいい! 作者さん天才ですね!大好きです! (2019年7月3日 19時) (レス) id: 83dcd98d4d (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - JUMPLOVEさん、お越しいただきありがとうございます!好みのお話で良かったです(^^)頑張ります〜! (2019年7月2日 17時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - この手のお話がとっても好みで、ありやまなのがほんっとにたまりません!!!応援してますので、更新頑張ってください!!! (2019年7月1日 1時) (レス) id: f4e667ae46 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - くるすけさん» くるすけさん、初めまして(^^)ありがとうございます!頑張らせていただきます!! (2019年5月18日 21時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
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