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◇24◇ ページ24

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有「ローソクに火着けようか」



赤く揺らめく灯。『吹き消すときに願い事をするんだよ』と言うと真剣な顔して『分かった』と唇を尖らせる姿に何とも言い難いこの気持ち。

蝋燭に息がかかり消えていくときに俺も一緒にお願い事をした。



有「おめでとう。…食べよっか」


涼「だいちゃん、ありがとう」


有「どういたしまして。なんて、俺がやりたかっただけなんだけどな笑」


涼「こんなおっきなケーキが目の前にあるの夢みたい」


有「夢じゃないよ。全部涼介のだよ」



こんなに喜んでもらえるなんて祝い甲斐もあるってもんだ。

涼介の笑顔がさ、すっげー嬉しいんだ。
ずっと見ていたい。

切り分けたケーキの断面に苺がびっしり詰められていて。
キラッキラの瞳が『すごいね!』ってこっちが感動するくらいの純真さ。



涼「いちご、かわいい」



それには思わず『涼介の方が可愛い』って言いそうになったよ。



有「…ふはっ(笑)涼介」


涼「ん?」


有「見てないで食べな。まだあるんだから!」


涼「うんっ、いただきます」



一口食べたら『美味しい』二口目には『美味しすぎる』って子供みたいに感動してる。
夢中で食べて顔を上げた涼介は生クリームを口の端に付けたままにっこりと笑った。

ピザの注文も届いて二人だけの誕生会は背にある暗い影を感じさせない幸せな照明をあてられていた。



有「…ほんと小さい子供みたいだな(笑)」



珍しく食が進んで満腹になり早めに布団に入った涼介はすやすやと気持ち良さそうに眠っている。

これがこの子の本来の姿なのかな。
食べるのが好きで純粋で癒しの笑顔を持っている。
もっと知りたい。もっと色んな顔を見てみたい。



有「…早く自由にしてやりたい…」



いつまた母親が現れるか分からない。
その不安は俺の倍以上に感じているだろう。

息子を心配する様子もなければ人間としての扱いでもない。
それなのに捜してまで側に置いておきたいのは家のことを全てやらせていたから涼介がいなくなってやる人がいなくなった。

それだけだろう。


出来るだけ早くこの場所を引っ越さないとな。

すぐそこまで迫る影に触れられる前に。

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夢莉(プロフ) - すらささん» すらささん、初めまして!お返事遅れましてすみません。お兄ちゃんっぽいカッコいいところが書きたかったんです!伝わってると嬉しいです(^^)ありがとうございます! (2019年7月14日 19時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
すらさ - 大ちゃんヤバかっこいい! 作者さん天才ですね!大好きです! (2019年7月3日 19時) (レス) id: 83dcd98d4d (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - JUMPLOVEさん、お越しいただきありがとうございます!好みのお話で良かったです(^^)頑張ります〜! (2019年7月2日 17時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - この手のお話がとっても好みで、ありやまなのがほんっとにたまりません!!!応援してますので、更新頑張ってください!!! (2019年7月1日 1時) (レス) id: f4e667ae46 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - くるすけさん» くるすけさん、初めまして(^^)ありがとうございます!頑張らせていただきます!! (2019年5月18日 21時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有岡夢莉 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年5月9日 0時

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