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中古で買ったレンジで温め直せば、またいい匂いをさせた涼介の手料理。
手を合わせてスプーンを手にすると「サラダから食べて」と言う涼介に、オムライスを前にして従った。
有「んー、うっめぇ」
山「だいちゃんは、美味しそうに食べてくれるよね」
有「実際めっちゃ美味いもん」
子供の頃はまともな食事と言ったらコンビニ弁当しか無かった。
母親の料理など食べたことがないから家庭の味は知らない。
山「ご飯ってこんなに楽しいんだね」
もう痛い顔はしてなくて、嬉しそうにしてるから俺も嬉しくなる。
胸の中が擽ったくて変な感じだ。
有「家族ってこんな感じかな」
山「うーん、それよりも、
恋人って感じもしない?」
有「ぐふっ…!」
山「大丈夫?!」
詰まらせた原因は動揺。でも発した張本人は水の入ったグラスを手渡し背中を擦って「ちゃんと噛んで食べないとダメでしょ?」と気付いていない。
変に意識したのは俺だけなんだ。
そう、意識して…俺は、涼介を…
有「ありがと、もう大丈夫」
…違う。
俺と涼介が一緒にいる意味が変わってしまう。
山「じゃあ、僕、洗濯物畳んでくるね」
有「俺も手伝うよ」
山「いいの、ゆっくりしてて」
部屋干しの服を下ろして畳む後ろ姿を見つめ、やっぱりこれは家族で間違っていない、と思う。
兄弟的なものではなくて、恋人の延長線上で。
有「涼介を傷つけることはしないよ」
いつしか芽生えた想いは、確実になっていく。
でも、ダメなんだ。
二人同時に布団に入って、目が覚めたらそこにいて。
“独りでいい”と強がっていた日々に戻りたくない。
有「……」
こうして涼介を見ているだけで、
山「だいちゃん」
有「ん、どうした?」
山「…へへっ」
有「なんだよ(笑)」
山「ううん。ボーッとしてたから聞こえないかなって呼んでみた。怒った?」
じんわり、温かい血が通う。
有「ほんとに高校生かよ」
山「怒ってるの?」
有「小学生みたいで可愛いって思ってる」
山「ちびって言いたいんだ」
有「ちげーよ(笑)」
それはどんな環境の中にいようと、涼介が純粋であり続けたからだ。
この子の笑顔を曇らす者がいたなら俺が片っ端から排除してやる。
母親に再会したその日、涼介は初めて笑った。
有「涼介は本当に良い子だよ」
…ごめんな、守ってやれなくて。
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夢莉(プロフ) - すらささん» すらささん、初めまして!お返事遅れましてすみません。お兄ちゃんっぽいカッコいいところが書きたかったんです!伝わってると嬉しいです(^^)ありがとうございます! (2019年7月14日 19時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
すらさ - 大ちゃんヤバかっこいい! 作者さん天才ですね!大好きです! (2019年7月3日 19時) (レス) id: 83dcd98d4d (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - JUMPLOVEさん、お越しいただきありがとうございます!好みのお話で良かったです(^^)頑張ります〜! (2019年7月2日 17時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - この手のお話がとっても好みで、ありやまなのがほんっとにたまりません!!!応援してますので、更新頑張ってください!!! (2019年7月1日 1時) (レス) id: f4e667ae46 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - くるすけさん» くるすけさん、初めまして(^^)ありがとうございます!頑張らせていただきます!! (2019年5月18日 21時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
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