◇15◇ ページ15
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有「涼介くん、少し揺れるよ」
山「…ぅ、っ…」
声を掛けられる前に涼介くんを抱き上げて帽子で顔を隠した。
すれ違う時に何人かがこちらを見て話していたけどスピードを上げてその場を去った。
有「…ここまでくればもう大丈夫だろ…」
人気の無さそうな道に入りその先へ行くと堤防に辿り着いた。
途中で元の様子に戻っていた涼介くんは落ちないよう俺の首に手を回して顔を伏せている。
有「聞かない方がいいなら聞かないよ」
そっと体を下ろし再び俯いてしまった涼介くんの返事を待つ。
山「…僕、やっぱり…普通になれないね…」
有「……」
山「さっきの、知らない人だった…」
知り合いじゃなかったんだ。
制服も涼介くんのとは違っていたし。
なら、どうして…?
山「…思い、出しちゃって…」
前に聞いた話では、涼介くんは母親と母親の再婚相手と三人暮らし。
母親は前夫を酷く憎んでいたらしくその子である涼介くんを二人で……。
_____あっ、
学校はどうする?と聞いたときの行きたくないです。の返事。
もしかしたら学校でも何かトラブルを抱えていたのかもしれない。
山「…何処にいても…いつになっても…逃げ切れないんだね…」
ふらふらと歩き出した涼介くんはそのまま堤防を越えて…
有「…涼介くんっ!」
山「行き止まりなんだ。僕の道はいつも。大ちゃんがくれる道もいつか行き止まり。
人に終わらせられるなら、自分で逝かせて…?」
あと一歩、その先へ進んだら二度と触れられないところまで落ちてしまう。
手を伸ばして無理矢理止めても涼介くんの気持ちが変わらない限り意味無いんだ。
有「なら、俺も道ずれにしてよ。死んだって一人じゃ逃げ切れないかもしれないだろ?」
山「……」
返事をしてくれなくなった涼介くんの隣に立つ。
目の前には大きな川が穏やかに流れている。
見ているだけなら感じなかった、底が見えない恐怖。
有「君が本当に死にたいと言うなら」
山「……こわぃ…ょ…っ……」
俺が手を繋いで顔を覗いて笑い掛けると涼介くんは初めて“こわい”と言ってくれた。それでいい。
有「どんな時間にもいつか終わりは来る。
そのときまでは俺と生きようよ」
“死ぬのが怖いと思ったのは初めてだった”
帰り道、ポツリと呟いたのを聞き逃さなかった。
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夢莉(プロフ) - すらささん» すらささん、初めまして!お返事遅れましてすみません。お兄ちゃんっぽいカッコいいところが書きたかったんです!伝わってると嬉しいです(^^)ありがとうございます! (2019年7月14日 19時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
すらさ - 大ちゃんヤバかっこいい! 作者さん天才ですね!大好きです! (2019年7月3日 19時) (レス) id: 83dcd98d4d (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - JUMPLOVEさん、お越しいただきありがとうございます!好みのお話で良かったです(^^)頑張ります〜! (2019年7月2日 17時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - この手のお話がとっても好みで、ありやまなのがほんっとにたまりません!!!応援してますので、更新頑張ってください!!! (2019年7月1日 1時) (レス) id: f4e667ae46 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - くるすけさん» くるすけさん、初めまして(^^)ありがとうございます!頑張らせていただきます!! (2019年5月18日 21時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
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