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二人の共同生活が始まった日に呼び方も無事砕けた。
それから過ごしていくなかで少しずつ彼の生活を感じられるようになっていった。
帰宅すると脱ぎ散らかしたままだったシャツが洗濯されて綺麗に畳まれていたり、埃の溜まっていた棚がピカピカになっていたり。
どれも俺の尻拭い的なことだけど彼に聞くと掃除が好きらしくて自由に動いた証だ。
そして、涼介くんと暮らすようになってから一週間が経った。
今日の晩御飯はエビチリ弁当。
これが結構気に入ってくれたみたいでいつもより食べてくれた。
なら、中華料理屋でも連れていってあげようか。
有「涼介くん」
山「?」
有「外、出たくない?」
俺は相変わらず朝から晩まで外へ出ていて、その間ずっと一人。籠りっぱなしじゃ可哀想だ。
山「…」
有「明日休みになったんだ。
よかったら、一緒に出掛けない?」
実を言えば、明日は休みにしてもらった。
時間をつくって二人で、って関係じゃないけど少しくらいいいだろう。
有「こんなせまっ苦しい部屋にこもりっきりじゃ飽きるだろ?気分転換に行こうよ」
山「…でも、」
俺にも人を思いやれるところがあったんだなぁ…
人間関係が上手くいかないのは自分が人のことまで考えることのできない思い遣りに欠けた人間だからと諦めていたけど。
山「見つかったら…」
有「変装していこう」
カツラはないが眼鏡や帽子くらいはある。
なんとかなるだろ。
あとは涼介くんの気持ち次第。
山「…行きたいです…」
有「決まり」
行く場所は決めてない。
遠出じゃなくても、そこら辺の散歩でもいい。
ゆっくり歩いて話がしたい。
涼介くんのことを知りたい。
でも、俺らには終わりがあることを忘れてはいけない。
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《一刻も早く見つかることを祈っています》
テレビニュースのインタビューに応えていた一人の女性。
ハンカチで顔を覆い泣いている姿を涼介くんは感情の無い目で見つめ、ふふっと口角を上げ「おかしいの」と呟いた。
有「…涼介くん」
山「今日、やめますか…?」
有「いや、行こう」
数日前に幼児が行方不明になったと報道されていた。
それが昨日事件は急展開を迎え、結局犯人は両親で虐 待の末殺してしまったんだと。
自分がしたことを隠して良い母親を演じていた姿に彼のことを重ね沸々と怒りが込み上げる。
ハンカチの下の顔は笑っていたのだろうか。
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夢莉(プロフ) - すらささん» すらささん、初めまして!お返事遅れましてすみません。お兄ちゃんっぽいカッコいいところが書きたかったんです!伝わってると嬉しいです(^^)ありがとうございます! (2019年7月14日 19時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
すらさ - 大ちゃんヤバかっこいい! 作者さん天才ですね!大好きです! (2019年7月3日 19時) (レス) id: 83dcd98d4d (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - JUMPLOVEさん、お越しいただきありがとうございます!好みのお話で良かったです(^^)頑張ります〜! (2019年7月2日 17時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - この手のお話がとっても好みで、ありやまなのがほんっとにたまりません!!!応援してますので、更新頑張ってください!!! (2019年7月1日 1時) (レス) id: f4e667ae46 (このIDを非表示/違反報告)
夢莉(プロフ) - くるすけさん» くるすけさん、初めまして(^^)ありがとうございます!頑張らせていただきます!! (2019年5月18日 21時) (レス) id: 5bdce97967 (このIDを非表示/違反報告)
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