初恋の続きを君に《Sho.S》 (ページ29)

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慣れない距離ページ29

『…文化祭って、さ？』
「うん」
『いつあるの？』
「うーんと…来月の17日かな」

櫻井さんが、17…って呟いた。

ますますわからない。

「櫻井さん？」
『あ、ごめん。数列だったよね』

どれどれ？って、櫻井さんが私の側に来る。

教科書と参考書を広げて、
わからないところを聞いていく。

『教科書レベルは大丈夫？』
「うーん…ちょっと不安かも」
『じゃあここからここまでやってみて。
わかんなかったら聞いてね？』
「はーい」

とりあえず指示された問題を解く。
…数学って、やっぱり苦手だ。

そう思いながら解くから、
当然好きにも得意にもなれないわけで。

そのうちに、わからない問題が出てきた。

…これは聞くしかないかな。
でも、頑張れば解けそうな気もするし…

考えていたとき、ふっと手元が暗くなった。
不思議に思って顔を上げるとー

『どした？わかんなかった？』
「っ⁉︎」

私の両側に手をついて、
覆い被さる体制の櫻井さんがいた。

しかも耳元で声がする。

「えっ…と」
『あーここ？これちょっと複雑なんだよね。
まずこことここの差を考えて…』

いろいろ説明してくれたけど、
右耳から入って左耳から抜けてったと思う。

思った以上に近い距離に、
私は慣れることが出来るのかな。