49 ページ49
．
卒業式も、最後の挨拶も
みんなとの撮影大会も終わって
みんなと涙混じりでお別れをした。
教室に残ったのは、私と先生の2人きり。
はいた息は白くて
窓から見える外は、まだ雪が降ったままだった。
そんな真っ白な世界を
窓から見ている先生の後ろ姿は
綺麗で、思わずひきこまれる。
「………先生、」
告白をする前に、聞いておきたくて
ぎゅ、と右手の拳を握って先生の名前を呼ぶと
“ ん？ ” と、こっちを振り返って笑う。
「先生って……結婚、「しねぇよ。」
“ 結婚してるんですか？ ” って言いかけた所で
先生の言葉に遮られる。
でも、そんな言葉よりも
今の状況に戸惑う。
「へ、…ちょ、先生………っ」
ふいに、タバコ混じりの
優しい香水の匂いに包まれる。
私の顔の横にあるのは
間違えなく、大野先生の顔で
私の腰に回った手は
間違えなく、大野先生の手で
少し経って、
ようやく私が先生に抱きしめられてる事に気づく。
「好きだよ。すっげぇ……好き。」
私が、先に言おうとした言葉を
先生が、
私を抱きしめながら言ってる。
「だっ………て、先生………ｯ」
「別れてきた。
あいつより…好きな人見つけちったから。笑」
ぎゅ、と回された腕の強さが強くなって
さっき
ようやく止まった涙がまた溢れてくる。
行き場の無い震えた手を、先生の腰に巻き付ける。
「卒業したから、生徒と先生の関係じゃ
無くなるもんな。笑」
「うっ………ん、」
「………返事は、？」
たぶん、鏡で見たら酷い顔だったと思う。
涙でﾎﾞﾛﾎﾞﾛで
くしゃくしゃの顔のまま、私も返事をする。
ずっと、伝えたかった
その言葉を。
「私も………ｯ、先生のこと……好きっ……！」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゅら
| 作成日時：2016年8月30日 0時
