大野先生。 (ページ37)

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「………あんな奴のとこ、行かんとって…」

章大が、階段を下りてきて

私を、一段上の階段から見下ろしてくる。

「………俺は……Aの事…泣かせへんから」

章大の右手が私の左頬を包んで、

親指で、目元を拭う。

「やから……泣かんとって……」

私、いつの間に泣いてたんだろ。

「………ｯ､う、ぐすっ……」

「A………」

もう、感情なんかごちゃごちゃで

いつの間にか

抱きしめられていた章大の胸の中で

ただ、涙を流すことしかできなかった。

.

．

結局、放課後

教室には行けなくて、章大に家まで送ってもらった

涙で、目が真っ赤に腫れてる。

「………先生、待ってたのかな」

どうすればいいのかな。

せっかく、戻った

約束の場所に…私は行ける権利あるの？

……井上先生と付き合ってる、

いや………結婚する

大野先生と、2人で会う権利なんか……。

明日の放課後…

待ってみようかな…先生が来るのか、

いや、先生の事だからきっと来るんだろうな。

聞いてみようか。

本当なのか。

伝えてみようか。私の気持ちを。

「………そんなの、出来るわけない。」

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