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｢サーン！セーラームーン！｣
｢衛さーん！｣
ウラヌス、マーキュリーが声を出し続けるも応える声はない。
マーキュリーは自分のコンピュータでも調べ続けていた。
｢どうだ？｣
｢いないわ。
さっきからコンピュータでも探しているんだけど‥｣
｢そうか‥。他の皆も気にかかる‥。
あっちの丘を越えて、高台に出よう｣
｢はい！｣
走り出すウラヌスを追うマーキュリーだが、
なかなか追いつけず、2人の距離は縮まらない。
(すごい‥。なんて早いの、、追い付けない‥！)
現状から昔を思い出すマーキュリー。
小学校---
帰宅の為に小走りで駆けていた校庭で
足元にバスケットボールが転がってきて歩みを止める。
ボールを拾い上げると同時に駆け寄ってくるクラスメイト。
“亜美ちゃん！もう帰っちゃうの？”
“一緒にバスケットの練習しようよ！
球技大会も近いしさ！ね？”
誘ってもらえて嬉しそうにする亜美に
また違う子が声を掛けてくる。
“駄目だよー。亜美ちゃん、塾毎日2つも3つも行かされて
とっても忙しいのよ？”
“すごーい”
“ごめーん”
“またねー”
自分の返事も聞かずに置いていかれたあの頃に
今の自分と重ね合わせてしまう。
遅れているマーキュリーに気付き、声を掛けるウラヌス。
｢どうした？急げ！｣
｢は、はい！｣
(いつもと何かが違う‥。
彼女にペースを合わせているからか？)
走るスピードをいつもより遅らせていても
追いつけずにいるマーキュリーに違和感を抱く。
いつもは自分のペースで走っていても
必ず隣を走っていてくれる
(そうか‥。いつも彼女が、僕に合わせてくれていたんだな‥)
いつも当たり前の様に感じていた。
自分のペースで走っても必ず隣にある存在。
隣を走る存在がない違和感で始めて
いつも彼女が自分に合わせていてくれたことに気付く。
(何も言わなくても君は、
僕の隣を走り続けてくれていたんだな‥)
改めて今は傍にいない彼女を愛しく思う。
傍にいるだけで安心出来る存在を。
(早く君を見つけて、君の隣を走りたい‥)
高台に着き、見下ろした景色に絶句するウラヌス。
｢何だ、これは‥｣
｢そんな、、｣
そこはいくつも同じ景色が繋がった、異様な大地だけ。
きっと、どれだけ前へ進んで行ったとしても
同じ景色ばかりが広がるだけだと想像出来る。
2人がいる所は、出口などあるのかも分からない、
先が見えない場所だった。
マーキュリーはコンピュータを出し調べ始める。
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作者名：歩 | 作成日時：2023年5月6日 4時
