愛をこめて子守唄を ページ50
私がまだ部屋に閉じ込められていた時、穴の空いた障子から外を覗いた時に母親が泣く赤ん坊に愛おしそうに子守唄を歌うのを見て、ツキンと胸が痛んだのを今でも覚えている。
その痛みが心にぽっかり空いた穴に反響して、さらに大きくなっていくあの感覚も。
手を伸ばしたって掴み取れないものに憧れて、そんなの貰えるわけないじゃん、と心の中で自虐した。
心から血が出ているみたいで、いつまで経っても止まらない。
そんな感覚。
ずっとずっと、欲しかった。
男として生きることになり自由な部分が増えて、駄賃を貰う代わりに近所の子たちの面倒を見るようになった時、歌ってあげたのがさっきの子守唄だ。
本当の子守唄なんて知らないから思いつくままに歌っていたら、いつしか私だけの子守唄になった。
心に刺さった釘を溶かすように、心の穴を埋めるために、ひたすら歌ってこの子たちにはそんな思いさせてあげたくないって思いながら、結局は自分のために歌っていた。
私でいいのなら、善逸にも歌ってあげたい。
私は男として生きることで、愛と呼べるか分からない一時的なものだったかもしれないけれど、それに近いものは貰えた。
でも、善逸はそうじゃない。
今のお師匠さまに会うまでは一人だったんだから。
だから私も善逸を抱き締め返して背中を一定の間隔でトンットンッと優しく叩き、もう一度子守唄を歌った。
次第に雷の音も雨垂れの音も止み、隣で穏やかな寝息を立てる善逸と一緒にすうっと眠りに落ちていったのだった。
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作者より
ここまでお付き合いありがとうございます!今回で100話目!めでたい!
ということで、次回からは続編に続きます!
いやー遊郭編めっちゃ書きたい!っていうかメモ帳には入ってる!
映画金曜日に見てきます!創作意欲が湧いてまうなぁ...
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ロマネスコ(プロフ) - かりんさん» ありがとうございます!一応一週間に一回定期更新していますが、書ける時書けない時があるので長い目で見ていただければ幸いです(*^^*) (2020年8月31日 15時) (レス) id: 87cf8bc382 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - 気になるぅぅ!応援してます! (2020年8月30日 20時) (レス) id: c30d21e2cb (このIDを非表示/違反報告)
(ー∀ー)イト - 説明文(?)の所に善逸オチとかいてありました。ちゃんと見ずに質問してしまってすみません!!失礼しました。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: cb2121edf2 (このIDを非表示/違反報告)
(ー∀ー)イト - 質問です!こちらの作品は宇髄さんオチですか?? (2020年8月22日 18時) (レス) id: cb2121edf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロマネスコ | 作成日時:2020年3月31日 21時