たすけたい ※善逸視点 ページ24
善逸視点
機能回復訓練をサボり始めて早数日。血鬼術を早く治すためにも、縁側で貰った(正確には盗んだ)饅頭と共にお茶なんか啜ろうかな、なんて思って蝶屋敷をふらふらしていた時のことだった。
暖かい音が多く響くここに似つかわしくないくらい深い悲しみ、寂しさの音がした。それから、誰かがすすり泣く音も。気付いちゃったら知らんぷりするわけにもいかず、そちらへ向かってみることにした。
ちょっとずつ近付くうちに、この音は羚凰の音だと気付いた。悲しみや寂しさの音の裏に、いつもの羚凰の音も微かに聞こえる。
音の主が羚凰だなんて、さっきは気付かなかった。いつも羚凰の音は静かで優しい音がしてたから、こんな音を出すとは思ってもみなかったんだ。
羚凰だと気付いたらそこからは早かった。饅頭や用意したお茶を適当な場所に置いておいて走った。東西に走る長い廊下を抜けて直ぐに目に飛び飛んできたのは、羚凰が刀を持って蹲っている光景だった。
「羚凰!しっかりしろ!」
『ぜ、いつ...あ、ごめ、ん、、、ごめん、』
すぐさま駆け寄って肩を抱き起こすけれど、筋肉が痙攣しているし呼吸もおかしい。これって過呼吸ってやつじゃないか?パニックで息を吸いすぎて、逆に苦しくなっちゃうやつ。
確か...前かがみに座らせて呼吸を落ち着かせなきゃいけないんだっけか。耳年増でよかった。
取り敢えず正面から脇の下に腕を差し込んで、こっちにもたれさせる。これで前かがみは大丈夫。
「羚凰落ち着いて。俺に合わせてゆっくり息して?なるべく、ゆっくり、息を吐いて。」
背中を呼吸と同じ速度で擦りながら、俺自身も大きく深く息をする。
でも、どうしてこんな風になったんだろう。確か羚凰は一人で鍛錬してたんだよな。この前は普通にそうだったんだけど。
さっきは呼吸の音が苦しそうで気付けなかったけど、刀を握っていたせいか、手のマメが潰れて血だらけだ。こんなになるまで...やってたのか、俺がのうのうと訓練をサボっている間に。
10分ほどそうしていると、やっと痙攣や呼吸が落ち着いてきて、すよすよと寝息を立て始めた。
寝られなかったのかな。隈もできてる。
今日はしのぶさんがいる日だったはず。兎に角ここから運ばないと。抱き抱えるのは腕がまだ少し短いから無理なので、背負うことにした。
羚凰は俺と数センチしか変わらないはずなのに、やけに軽くて、こんな体で俺よりも活躍してるんだって思ったら、なんだか少し、恥ずかしくなった。
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ロマネスコ(プロフ) - かりんさん» ありがとうございます!一応一週間に一回定期更新していますが、書ける時書けない時があるので長い目で見ていただければ幸いです(*^^*) (2020年8月31日 15時) (レス) id: 87cf8bc382 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - 気になるぅぅ!応援してます! (2020年8月30日 20時) (レス) id: c30d21e2cb (このIDを非表示/違反報告)
(ー∀ー)イト - 説明文(?)の所に善逸オチとかいてありました。ちゃんと見ずに質問してしまってすみません!!失礼しました。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: cb2121edf2 (このIDを非表示/違反報告)
(ー∀ー)イト - 質問です!こちらの作品は宇髄さんオチですか?? (2020年8月22日 18時) (レス) id: cb2121edf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロマネスコ | 作成日時:2020年3月31日 21時