弐 ページ6
鶴丸side
「戦争が終わった。」
声にするとたった一言でも、俺たちには大きな意味を持つ。
刀剣男士は、この戦の武器として…兵器として呼ばれた存在。
審神者無くしてその存在は保てず、敵がいないならただの不穏分子だ。
いつかは排除に動くだろうとは思っていたが、ここまで早いとは驚きだ。
排除の方法も『刀剣男士を人にする』という突拍子も無いもの。
曲りなりとも神である俺たちを人に落とすとは、怖いもの知らずというかなんというか…
一体何を対価にするんだか。
まだ若い主には教えたくないので黙っているが、こういうのには対価がつきものだ。
もちろん規模によって対価も大きく変わる。
それにしても、この担当は食えないやつだと思っていたが陰陽寮の出身か。
思いつくのはあの家だが…どうして政府の使いっ走りなんかしているんだ？
そんな大呪術に別のものを組み込むなんてただ事じゃない。
まあ俺たちにとってはいいことづくしなんだが。
どうしても本分が戦の道具、人斬りの武具なので。安穏とした生活が続けば発狂する気しかしない。
『自分』が『鶴丸国永』以外になるなんて考えたこともなかったが、斃れれば本霊に戻るんだからバカンスだと思えばいいだろう。
…鶯丸や三日月なんかの美術品としての意識が強いやつはそういうのも気にしないのかもしれない。
あいつらはそのままでも問題なさそうだな。なんか。
向こうで会えるのは多くて3割。
そう考えて自分が逸れる可能性をかけらも考えていないことに気づいた。
こういう勘は当たるのだ。勘が良くないと結局戦は生き残れないのだから。
「なあ、光坊たちはもし人になったら何がしたい？」
「えっ、突然だなあ。そうだね、本場のイタリアンを食べてみたいかも。
伽羅ちゃんは？」
「興味n「おれは学生ってやつやってみたいなー！」はあ。…猫を飼う」
「思ってたよりだいぶかわいいなきみ…」
伽羅坊がぷいとそっぽ向いてしまったので、貞坊と顔を見合わせて笑った。
話し合いが終わったらしい。術を施すのは平等に刀帳順。初期刀だけは最後に残すことになった。
俺の番が来て最後に後ろを振り向くと、もうほとんどみんないなくなっていて
ボロボロ涙を流す主が目に付いた。
その姿が主の祖母…前の主に重なって、らしくもなく昔を懐かしみながら陣を踏んだ。
ああ、願わくばまた彼らと共にーーー
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作者名：トイプードル | 作成日時：2018年10月30日 8時
