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『…なぁに?』
ねぇ、教えてよ、って意味を込めて袖を引っ張ると。
観念したかのようなヒロがちょっと笑って教えてくれた。
「………初めてAのこと綺麗だなって思った時のことを思い出してちょっと恥ずかしくなった」
『あ、それは私も恥ずかしいやつだ』
自分の容姿は昔となにも変わってないから、今になって可愛い綺麗と言われるのはすごく違和感があるんだけど…もし、綺麗に見えてるならそれはヒロや同期のみんなのおかげだな。
『…いつかまた、元の髪で外を歩けたらいいなぁ』
私もヒロも本名がバレたわけではないけど、お互い組織の中ではなかなかな立場だったし、完全に面が割れてるからしばらくはこの格好を続けるしかない。
「あ、でも勘違いしないで。今の黒も綺麗だよ」
『ううん、違うよ。ヒロが好きな色ならその色でいたいだけ。…恋人にはいつも可愛い〜とか好きだな〜とか思ってもらいたいでしょ』
「これ以上好きにさせる気なの…俺をどうしたいの…」
『それはわりとこっちの台詞だよ…』
どんな格好しても可愛いねって褒めてくれるし、メイクを変えればすぐ気付いてくれるし、これが食べたいなぁって言えばなんでも作ってくれるし、私以上に私の好みや体調に詳しい。
…具体的に挙げただけでも本当にすごいな。
でも付き合う前と後で大きく変わったかと言われれば、付き合う前からわりとそんな感じだった気もするから、なんかもう恥ずかしすぎて埋まりたい。
「えっ、もっと好きになってくれるの?ならすごく嬉しいなぁ」
『…もう、変なこと言ってないで。報告書やる!!』
「寝ないの?」
『寝ない!!』
「じゃあ隣で見てようかな」
『そ、それは集中できない…』
なんで、と笑われるから、私はヒロと違うの!と返す。
好きな人に見られてやる気になるのも分かるけど、恥ずかしいのが勝ってしまう。警察学校の頃からを含めると7年近い付き合いになるのに、もう全然慣れない。
「あれ…」
『ん?』
パソコンの脇に置いてあったスマホを見ながら、ヒロは「今日班長に会った?」と聞いてくる。
『あっ、言うタイミング逃してた。会ったよ〜帰りに』
「連絡きててさ。グループだから多分そっちにもいってると思うけど、みんなで集まろって」
『魅力的なお誘いだけど、休み合わせるの大変そうって思っちゃった…』
「確かに…」
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LieN - この作品すごく好きです!!更新楽しみに待ってます!!(o^∀^o) (2022年6月21日 14時) (レス) @page8 id: ece7746fe0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨宮 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/aroute1351/
作成日時:2022年6月12日 17時