転生したら黒の組織から警察官になりました2【警察学校組】 (ページ24)

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『違う、怖くはなかった。いや…それはそれでダメかな…えっとね』

本当に怖いとは思わなかった。自分だって、やってたことあるし、本当に、まったく。
変な誤解だけは解きたくて、慌てて弁解したけど、なんだかおかしな言い方になってしまう。

「怖くないなら、良かった」

…そう言って安心したような顔をするから、さっきまでの殺気立った彼はもういなくなっていることに気付く。
こっちの彼はよく知る、ヒロだ。

『…怖くはなかったけど…スコッチってあんな感じなのかなとは思った。口調とか、雰囲気とか』

持っていたビニール袋の中から、アーモンドチョコの箱を取り出して開ける。彼に差し出せば、1粒取って口に入れながら考えるような素振りを見せる。
私も1粒食べる。…甘い。

「はは、どうだろ。俺はあいつみたいにそこまで作ってないかも。狙撃手は、そこまで人と関わらないし」

あいつ、と言うのがおそらく「バーボン」の名を持つ彼だろうな、というのは私でもわかる。
…レイは本当に別人の域に近いから、あれと比較するのもなかなかではあるけど。

『…そっか、なるほどね』

「それがどうかした？」

『ん？…んー、いいもの見れたな、みたいな』

「なんだそれ」

『かっこよかった、ってことだよ』

前…アメリカで会った時も言った気がするな。
…警察学校の頃とは全然違うよ。
ギャップがすごくて、会う度にドキドキさせられている。

「…あのね、あんまりそういう事言っちゃダメだよ」

『なんで？』

「なんで？！えっ、えー…」

他の誰にも、言わないよ。そもそも思わないし。
それはもう好きだと言ってるのと同義な気がして、言えなかったけど。

「…まぁいいや。送るよ」

『いいの？』

「うん。強いの知ってるけど、流石にこの時間に女の子1人で歩かせられないよ」

『……正直疲れてたから、素敵な非日常をありがとう』

そう言えば、ヒロは嬉しそうな顔をして「こっちこそ、会えて嬉しいよ」と言った。
…そういう事を言っちゃだめ、っていうのは貴方にも当てはまるんじゃないの？