転生したら黒の組織から警察官になりました【警察学校組】 (ページ14)

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「ってぇ！」

『こら、松田くん動かない。はい、班長押さえて』

まったく、なんで約2名ボロボロで帰ってくるのよ。
話を聞けば、暴走トラックを止めるために相当なことをやらかしたらしい。またずいぶん面白そうなことしたな、とは思った。
もう1人のボロボロな人は諸伏くんが手当てをしているところだ。

『2人ともそこまでじゃないと思うけど、ちゃんと病院行った方がいいんじゃないの？』

「…めんどくせぇ」
「同感だ。舐めときゃ治る」

はぁ、と私と諸伏くんのため息が医務室に響いた。
班長と萩原くんは苦笑い。
そういえば、最近、学んだことがあるのだ。
だから手当てに使った薬やらなんやらを戻しながら言ってみる。

『イケメンって自分の容姿に無頓着なのね。勉強になる』

「えっ、Aちゃん2人のことイケメンだと思ってるの？」

『…イケメンじゃない？世間一般の基準は知らないけど』

「えー、俺は俺は？」

『萩原くんもイケメンだと思うけど。まぁ女の子と仲良くできる時点でわかるでしょ』

「じゃあ班長は？」

『彼女持ちの人にイケメンだねって持ち上げるの、失礼にならない…？彼女さんに悪いので言及しません』

「ヒロは？」

降谷くんの声に、名前があがった諸伏くんの顔をじっと見てみる。
いや、イケメンだとは思うんだよ、そうじゃなくてね。
あんまりじっと見つめてたからか、諸伏くんはちょっと照れたような顔をして、目をそらされてしまった。

『イケメンも、あるけど…なんていうか、それ以上に好きな顔？』

5人が固まった。
…単純な好みを言っただけなんだけど、なんで揃いも揃ってそんな顔をするの。

手当ても終わったし、もう行くねと立ち上がる。
扉を閉める前に、誤解されてると良くないな、と思って振り向きながら言った。

『勘違いされたら嫌だから言っておくけど。私、みんなのこと、顔っていうより性格がいいから好きなんだからね？あーでもあんまり怪我はしない方向で』

ばいばい、と手を振って医務室を出る。

私がいなくなった後の部屋で諸伏くんがめちゃくちゃイジられていたのを知るのは数年後のことだった。