本心 ページ50
どのくらいそうしていたのだろう。
注文を確認しに来たであろう店員さんに断りを入れ、直ぐ様店を後にする。
空腹感などはどこかへ吹き飛んでしまって、それ以上の何かで胸が埋め尽くされていた。
ステラを抱き締める腕が強ばるのも、ロトムが心配そうに私へ話し掛けているのも分かる。
分かってはいるけど気に掛けている余裕は無くて。
碁盤の目のような町を無心で歩き回り、気がつけば一番奥に聳える図書館の前に立っていた。
その前に備え付けられたベンチに吸い込まれるように腰を降ろし、ステラも解放してやる。
伸びをする彼を横目に、私は目元を両手で覆って長い長い溜め息をついた。
黒い視界に浮かんでくるのはやはり先程の景色で。
どうあらがっても記憶から離れてくれそうにない。
「……何でだろうね」
側の4つの目がこちらを見つめるのを感じながら、ただ吐き出したい想いを言葉に変える。
「どんなに伝えたい事があっても、あんな再開だと何も言えなくなる。アランの事を信じたいよ。けどさ、あんなの見せられたらただただ怖いんだよ。信じてる自分の事も、信じたいアランの事も。
確かにただのすれ違いかもしれない。けどさ、今の私からすればアランはすれ違ったままどこか遠くへ離れてしまう気がする。
アランと一緒に幸せになれるならこれ以上の事は望まない。それが叶わないなら、せめて相手の幸せだけでも願ってあげないとね」
ー私はもう、望まない
小さく自傷気味な笑みが浮かんでいるのが分かる。
その笑みを貼り付けたままに指から外したただの輪っかを太陽にかざす。
今度こそ、サヨナラかな。
海に出ることがあればそこでお別れをしよう。
その覚悟を決めて、もう何の意味も成さないアクセサリーをポーチの奥底へとしまい込む。
ついでに、とキーホルダー代わりにぶら下がっていた石の羅列も外して同様に。
心を離すなら、形あるものからも離れないとね。
割り切っている筈なのに、視界は何故か歪み始めて。
拭っても拭っても、頬を伝う生暖かい水は止まる事を知らなくて。
公共の場だから声はきちんと殺して、目元をただただ手で覆い続ける。
自分の本心に従ったら、敗けだ。
更新ペースが下落している中、一応続編には続きます。
いつになるかは不明ですけど……
気長にお待ちください！
CrazyBook
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CrazyBook(プロフ) - IzuMeさん» 拙い小説書きですが、読んでくださってありがとうございます！少しずつでも更新していくので宜しくお願いします！ (2018年11月12日 18時) (
レス) id: 8f3bd404cb (このIDを非表示/違反報告)
IzuMe - 初めまして！これからの展開がとても楽しみです！ゆっくり自分のペースで頑張ってくださいね！小説書きの方が読みやすいですね (2018年11月11日 23時) (レス) id: f829c8a31c (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - NIGHTMARE DOLLさん» コメント、ありがとうございます！カロスの方も読んでくださったんですか！？こちらこそ有難いです！亀更新ですが、気長に読んでください！頑張ってアランを登場させます！ (2018年7月18日 19時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
NIGHTMARE DOLL(プロフ) - 初コメです。XY&Zは個人的に思い入れのあるアニメだったので、こんな素晴らしい作品を読ませてもらって有難いです。アランの登場が待ち遠しい中、ウルトラビーストとの死闘にカロスでのいつメンが出て来てほしいです。長々と書いてしまい、すみません。応援してます！ (2018年7月18日 2時) (レス) id: ddee853101 (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook - 桜さん» いえいえ、とてもありがたかったです！またミスや矛盾点がありましたらご指摘をお願いしますね。 (2018年2月19日 22時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2017年11月13日 21時
