壁 ページ17
……side
ゴンっ、という小さな音に目を開ける。
見ればベッドからはみ出した右手が、サイドテーブルにぶつかっていた。
その手を伸ばし、備え付けの時計を回転させる。
【5:31:a.m】という無機質な文字が視界に入ってきた。
時計を元に戻し、毛布を退けて起き上がる。
未だに寝起きだと、アイツを探している自分がいる。
ー俺が招いた厄介事は、俺が片を付ける……だろ？
頬を軽く二度叩き、服を着替える。
頭がスッキリしているという事は、昨夜は久々の安眠ができたようだ。
理由は……隣の部屋、だろうか。
何かとポケモンの鳴き声で騒がしかったそれが、何故か心地よかった。
まるでアイツと一緒にいるような気がしたんだよな。
「グゥオッ！」
「ぐがぁうっ……！」
両サイドからの鳴き声で我に返る。
特訓ぐらい集中しろよ、言いたいようだ。
「ごめん、バトルするんだよな」
そう声を掛ければ、パートナーの二匹はバトルフィールドを挟んで向き合った。
「……始め！」
声に弾かれたように、二匹が同時に地を蹴る。
振り下ろされた“ドラゴンクロー”を“クロスチョップ”が弾く。
そのまま放たれた“ウッドハンマー”の勢いに押されるものの、“雷パンチ”を食らわせる。
体がぐらついた相手の隙を突き、追い討ちの“火炎放射”が放たれた。
が、
それは“フレアドライブ”にかき消された。
今度は逆に隙を突かれ、“DDラリアット”に吹き飛ばされる。
二匹の興奮が最高潮に達したところで……
「止め」
と声を挟めば、ピタリと二匹の動きが止まった。
若干不満げな二匹の頭を撫でてやれば、片方は嬉しげに喉を鳴らした。
進化しても変わらないこの特徴には心安らぐものがある。
見た目とのギャップ、というものだろうか。
もう片方は……
首に着いたメガストーンを軽く引っ掻いてみせた。
メガシンカをする程のバトルができないのが不満なのだろう。
「……厄介事を片付ける中で、必要になる。必ずな」
小さく頷いた二匹をボールに戻す。
そして、先程から足元にいる一匹を抱き上げた。
「バトルしたくなったか？」
その問うも、小さく首を振るのみだ。
頑張ろうな、と声を掛けて彼もボールに戻した。
進化すれば自信が戻る気がするが……
「アイツならもっと上手くやるんだろうな……」
ふと頭に浮かんだ顔を振り払う。
今は会えない。
会ってはいけない。
アイツと最後の一瞬まで一緒にいられるためにも、
俺は壁に立ち向かうべきだ。
自分が引き寄せてしまった壁に。
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CrazyBook(プロフ) - IzuMeさん» 拙い小説書きですが、読んでくださってありがとうございます！少しずつでも更新していくので宜しくお願いします！ (2018年11月12日 18時) (
レス) id: 8f3bd404cb (このIDを非表示/違反報告)
IzuMe - 初めまして！これからの展開がとても楽しみです！ゆっくり自分のペースで頑張ってくださいね！小説書きの方が読みやすいですね (2018年11月11日 23時) (レス) id: f829c8a31c (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - NIGHTMARE DOLLさん» コメント、ありがとうございます！カロスの方も読んでくださったんですか！？こちらこそ有難いです！亀更新ですが、気長に読んでください！頑張ってアランを登場させます！ (2018年7月18日 19時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
NIGHTMARE DOLL(プロフ) - 初コメです。XY&Zは個人的に思い入れのあるアニメだったので、こんな素晴らしい作品を読ませてもらって有難いです。アランの登場が待ち遠しい中、ウルトラビーストとの死闘にカロスでのいつメンが出て来てほしいです。長々と書いてしまい、すみません。応援してます！ (2018年7月18日 2時) (レス) id: ddee853101 (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook - 桜さん» いえいえ、とてもありがたかったです！またミスや矛盾点がありましたらご指摘をお願いしますね。 (2018年2月19日 22時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2017年11月13日 21時
