episode22栞奈side ページ24
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休日、南ちゃんとゆっくり話したくて2人で会うことにした。
場所は、南ちゃんの母の友人がやっているらしい私営カフェ。
ガラス張りの壁で、店外からも中の様子が窺えた。
アンティーク調の小物が、外を向いて窓際に置いてある。
レトロな雰囲気が気に入り、ここなら南ちゃんとゆっくり話せる、と、うきうきと足を踏み入れた。
しかし、そんな浮かれた気分も、次の南ちゃんの言葉にかき消されることになる。
「あ! 早川くんだ!」
早川、と聞いて私の肩がぴくりと揺れた。
だからなんだと言われれば困るが、私はあまりこの人……早川くんが好きじゃない。
こう、お世辞しか言わなくて本当のところは何を思っているのか分からないような雰囲気。
そういう人が私は苦手、というかそもそも人と関わるのが不得意分野で。
せっかく南ちゃんと2人で話せると思ったのに、彼女はもうすっかり向こうと話すのに夢中だ。
悪いとは言わないけれど、南ちゃんはちょっと空気が読めないところがある。
例えばほら、今。
どう見ても彼女とデートなのに、踏み込んで話しかける南ちゃん。
彼女さんは1度もこっちを見ない。
そりゃあ、彼氏とのデート中に別の女に話しかけられたら気まずくもなるだろう。
しかし、その後の会話でその女性が早川くんの彼女ではないと判明した。
そして、こちらが名乗ると、彼女だと思っていた子ははじめて顔をあげ、笑顔で言った。
「佐藤ふたばです。こんにちは」
その顔と声、そして雰囲気が、私の好きな人に似ていた。
私は驚いたけれど、彼女のことは苦手だと感じない。
それは、彼に見えるからだろうか。
初対面の人を相手に、少しだけ、口角があがった気がした。
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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 柚李さん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2017年2月21日 19時) (レス) id: 61bdcd300b (このIDを非表示/違反報告)
柚李(プロフ) - テストお疲れ様です! これからも更新頑張ってくださいね! 応援してます♪ (2017年2月21日 17時) (携帯から) (レス) id: 08c9ef1253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾音日和。@たこむし | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/
作成日時:2017年1月19日 21時