episodeＡ栞奈side番外編 ページ22
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ピンクと白を基調とした女の子らしい部屋に似つかわしく無い、昔ながらの日めくりカレンダーをめくる。
現在時刻午前７時３０分、２月１４日。
去年から好きだったあの人に、渡すんだ、チョコ。
保冷剤を詰め込んだ保冷バッグの中に、時間をかけて丁寧にラッピングした箱が入っている。
その中身を確認して、チャックを締め、スクールバッグにいれた。
いってきます、とキッチンのドアを開けて叫ぶ。
先程私が食べ終えた朝食の食器を洗っているであろう母からの返事も待たずに音をあげてドアを閉めた。
学校に着くと、何処も彼処もバレンタインムード。
彼氏に、好きな人に、友達に、あるいは、義理で。
沢山の女子が様々な相手に多種多様なお菓子をプレゼントしている。
チョコレートだけに留まらず、クッキーやカップケーキなど、それぞれの想いがこもったお菓子だ。
私も渡そうかと思い相手を探す。
秋……席にはいない、岬くんは席にいるから聞いてみようか。
いや、だめだな。
私のその考えはすぐに廃案となった。
岬くんはクラスの女子に留まらず、他クラスの子や男子からもチョコレートを貰っている。
……男子？
あぁ、にかちゃんか。
にかちゃんというのは二階堂燐斗という私達のクラスメイトだ。
自称恋する乙女、身長１６７ｃｍの男の子。
その恋してる相手が岬くんなんだとか。
世に言うオネェに近い(というか将来はオネェになるらしい)彼は、もはやクラスでもその個性を隠すことがない。
その堂々とした姿から、私達２組の間では女子として通用している。
私も女子の友達として接しているので、にかちゃんの愛称で呼んでいるし、友チョコもあげるつもりだ。
まぁ、今はお取り込み中なので後回しとして、秋だ。
秋は何処にいるんだろう、と思いつつ、とりあえず空いている友達に友チョコを配った。
ガラッと開いたドアの音に振り返ると、秋が手に紙袋を持って入ってきた。
紙袋の中身は見なくてもわかる。
チョコなんだろうな、女の子からの。
胸にすこしのわだかまりを感じて、保冷バッグに目線を向けた。
放課後にしよう、今渡したらその他大勢の中の１人になってしまう。
私はその他大勢にはなりたくない。
私は、秋にとって特別な存在になりたいから。
「秋」
こっちを見てくれた彼に、私は言葉を紡ぐ。
「放課後、空いてる？」
彼は笑顔で答えた。
「空いてるぞ」
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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 柚李さん» ありがとうございます！ 更新頑張ります！ (2017年2月21日 19時) (
レス) id: 61bdcd300b (このIDを非表示/違反報告)
柚李(プロフ) - テストお疲れ様です！ これからも更新頑張ってくださいね！ 応援してます♪ (2017年2月21日 17時) (携帯から) (レス) id: 08c9ef1253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾音日和。@たこむし | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/
作成日時：2017年1月19日 21時
