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episode11幸太郎side ページ11

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 へらっと笑って出てきた秋くんに、僕は困惑した。
 断言しよう、絶対にこれはその辺の女子よりも可愛いと。
 絶対なんて無いと言うけれど、僕は絶対を信じることにする。

 服に巻き込まれた髪を直すと、秋くんが抱きついてきた。
 やめてほしい。
 いや、やめてほしくない。
 どっちなんだと言われたら、それは正直迷う。
 理性が保てるか不安なのだ。
 だから、僕が普通で居られるうちにやめてほしい。
 でも、抱きつかれるのはすごく嬉しいから、やめてほしくない。

 これだから、無意識は。

 多分、秋くんは僕のことが好きだからこういうことをするわけじゃない。
 僕が"温かい"からだ。

 ふと思いついたふたばという名前が採用された。
 嬉しくて、秋くんに微笑んだ。
 秋くんも笑った。
 やめてくれ、可愛いから。

 さっき本人にも言ったように、可愛い顔してこんなことされたら、僕だってどんな失態を犯すかわからない。


「……ずるいよ」


 秋くんは僕の呟きに気づかずに女声の練習をしている。


「その容姿なら、もう少し高い方がいいかなぁ」
「そうか? じゃなくて……そうかな?」


 言葉遣いも女子らしくを目指しているらしい。
 普段は不自然なくらい男っぽくしている秋くんだから、違和感がすごい。

 不自然なくらいに男っぽくしている理由も、僕は知っている。

 早川なのだ。

 バレンタイン事件の後日、早川に、「身長も顔も喋り方も女みたいだな」と馬鹿にされたことから意識しだしたらしい。

 悔しいけど、今の秋くんは早川によって動いている。

 僕の方が一緒に居た時間が長いし、秋くんのことをよく知っているのも僕だ。

 ……でも。

 出会いは、あいつの方が先だったのだ。


 ちょっと寂しいな、なんて、頑張っている秋くんを見て思った。

 その後、いい感じの女声を追求し、秋くんの満足のいく"佐藤ふたば"が完成した。

***

 その翌日のことだ。
 学校に着き、クラスに入ろうとした時、同じクラスの藤沢南が駆け寄ってきて、「あの、その……」とこちらの様子を窺ってくる。

 何かと思って首をかしげたら、彼女は意を決したように口を開いた。

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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 柚李さん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2017年2月21日 19時) (レス) id: 61bdcd300b (このIDを非表示/違反報告)
柚李(プロフ) - テストお疲れ様です! これからも更新頑張ってくださいね! 応援してます♪ (2017年2月21日 17時) (携帯から) (レス) id: 08c9ef1253 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綾音日和。@たこむし | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/  
作成日時:2017年1月19日 21時

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