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名探偵と白い悪魔 ページ34






「Aっ!Aっっ!」




子供のようにAの元へ飛びついた乱歩

唐突の事に反射的に乱歩と共に床へ倒れるA

乱歩の事を庇いながら床へと倒れた為、Aの背中には痛みが少しだけ走った

無論、Aがちゃんと庇ったおかげで乱歩には振動が殆どきていない

乱歩が手に抱えていた大量の駄菓子が床に散乱している

何時もなら此処で、太宰が出てきて止めるのだろう

が、太宰は自 殺場所を捜しに出ている為不在だ




「もー、ちゃんと受け止めなきゃ駄目じゃないか」

『無茶云わないで下さいよ、乱歩さん』




唯一、乱歩が云う事を聞く福沢も軍警との会議がある為不在

そのおかげで今、この名探偵を止める手段は一つしか無い

乱歩の所為で打った背中を擦りながらAは起き上がった

起き上がる際、背中に微かな痛みが走った

国木田や事務員達は乱歩の邪魔をしないようにと

散らばった駄菓子の片付けをした後、各自が仕事に戻った




『それで…如何したんです?乱歩さん』

「ああ、そうだった そうだった」




乱歩はばさっと両腕を上げ、無邪気に「こっち来て!」と子供の様に云った

予想外だったのか、Aは赤い果実の様な唇を半開きにしている

私、乱歩さんに何かしたっけ?

不機嫌になりそうな事は全くしてない筈なんだけど……?

Aは、我に返ったようで―――首を右へと傾けた




『は、い?』

「こっち、僕の傍に来て。ハグして!」




乱歩さんからおねだり(命令)されているのは此処最近、私だけだ

私は乱歩さんと同じ位頭が善い訳ではない為

何故かは全く判らないが、乱歩に気に入られている

治お兄ちゃんの考えている事なら判るのだけれど

考えていても仕方が無い

私は乱歩さんに優しく手を伸ばし、そっと抱き着いた

否、抱き着くとは云えない程優しい手つきだったけれど




「……」

『此れで善いですか?乱歩さん』

「違うっっ!」




福沢さんが居ない今日に限って何故、乱歩さんの機嫌が悪いんだ

福沢さん……否、社長さえ居れば、彼の頭をひと撫でして終わりだった筈なのに




『え、えぇ!?』

「あと、僕に敬語を使うな!!」




乱歩さんはぷくぅと頬を膨らませた

……リスみたいで可愛い




「僕を小動物と一緒にするの禁止!」

『あ、はは……』




私は暫し何が気に入らないのかを理解する為、黙考していた

名探偵と白い悪魔2→←あとがき



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森ミク(プロフ) - ルムさん» わわっ、本当ですか…!嬉しいです、有難う御座います! (2020年9月4日 19時) (レス) id: c515606cc3 (このIDを非表示/違反報告)
ルム - 森ミクさんの作品愛読させてもらっています。全部 (2020年8月30日 18時) (レス) id: cfcfb7c0ae (このIDを非表示/違反報告)
森ミク(プロフ) - ルムさん» 有難う御座います。一日一話更新出来るように頑張りますねっ…! (2020年8月26日 18時) (レス) id: c515606cc3 (このIDを非表示/違反報告)
ルム - 頑張ってください!!! (2020年8月26日 6時) (レス) id: cfcfb7c0ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:森ミク | 作成日時:2020年8月25日 19時

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