第七十五話 ページ27
．
「私は殺してない」
『私も…君も、殺したも同然だよ！』
止めて
もう喋らないで
「Aだって悪くない。残念だけど、幾らAでもその殺意は証明出来ないよ。
拳銃を握ったのも、引き金を引いたのも、殺意を持って居たのも六蔵少年だ。
私はただ、足元の拳銃に躓いただけだ」
『………嘘吐き』
違う。本当はこんな事言いたい訳じゃ無い
頭では判ってるのに、身体が言う事をきかない
まるで――――私の躰じゃない、他人のモノみたい
これは治お兄ちゃんじゃなくて、私の責任
私は判ってて止めなかった
佐々城さんが大切な人を想い、その為に動こうとする気持ちが
私には痛いほど判って居たから――――
その復讐に意味なんて無いって事も
他人を傷付けて良い理由にもならないって事を
誰よりも判って居たから――――
結局、佐々城さんの策も
治お兄ちゃんの計画も
どちらの考えも否定出来ず、結局、二人から目を逸らしてしまった
「A。あれが彼女にとって唯一の救いだ。これが一番善かったのだよ」
『違う…。佐々城さんを、止める方法なら、もっと他にも―――』
次の言葉が出てこなかった
私はその策を出せなかったから
�狢召砲發△辰伸瓩覆鵑童斥奸�言えなかった
何時もなら嫌と言う程
飽きてしまいそうになる程出てくる作戦案が
全く出てこなかった
私が考えても、結果は………最適解は今と同じ
彼女の死を以て終わる
「正しさを求める言葉が刃物と言うように、優しさも同じ、遅効性の毒だ。
それは弱者の体内をじわじわと蝕み、最期は苦しませるだけ、
結局は傷つけこそすれ、守り救済する事は出来ない。
佐々城さんを苦しませたのは――――《蒼王》の優しさと正しさだ」
太宰の弾劾は、そのままAの心を
太宰の言葉は間違っていなかった
Aも裏社会で生きて居たからこそ、痛いほど知っていた
正しさは弱者を沢山傷つけてきた事を
優しさは、自分の思考をゆっくりと鈍らせてきた事を
「A。君だって私と一緒にそう云う人間を、何人も見てきただろう？」
二人の視線は、常人には理解も及ばぬような人間の闇
この世の深淵を映しているかのように暗かった
『私は――――』
Aは太宰から手を離した
太宰の云う事は、A自身が誰よりも佳く判って居るからだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
森ミク(プロフ) - ルムさん» わわっ、本当ですか…！嬉しいです、有難う御座います！ (2020年9月4日 19時) (
レス) id: c515606cc3 (このIDを非表示/違反報告)
ルム - 森ミクさんの作品愛読させてもらっています。全部 (2020年8月30日 18時) (レス) id: cfcfb7c0ae (このIDを非表示/違反報告)
森ミク(プロフ) - ルムさん» 有難う御座います。一日一話更新出来るように頑張りますねっ…！ (2020年8月26日 18時) (レス) id: c515606cc3 (このIDを非表示/違反報告)
ルム - 頑張ってください!!! (2020年8月26日 6時) (レス) id: cfcfb7c0ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：森ミク | 作成日時：2020年8月25日 19時
