第五十二話 ページ3
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「私と隣に居るこの少年は彼の担当編集だ。申し訳ないが取り次いで頂きたい」
「はあ。お……お待ち下さい」
これ以上自分の権限で治お兄ちゃんの相手をしたくないのだろうな〜
気持ちは判るよ。そして心から同情もする。だけど、助ける事は出来ないんだよね
待つことしばし。事務員の女性が戻り、国木田と太宰、Aを別室へと招いた
「こちらへどうぞ」
―――――――――――――
「困るのですよ、このような事は」
外交用の応接室に通された先には、禿頭の白人外交官が待っていた
国木田に渡された名刺を見ると、役職は
「いやー御免ねおじさん、態々部屋用意して貰ったけど、実は私、小説家じゃないんだ」
悪くない釣果では有るけど、まだ足りない
私は何か問題が起きた時の為の処理役だから、もう少しで出番が来るだろう
国木田が懐から手帳を取り出す。黒地に金の文字縁取りがされた手帳だ
「
「こ……公安?」
「訳あって正規
ですが我々が本物であることは、手帳を照合頂ければお判り頂けるかと」
国木田が手帳を掲げる。無論、これは彼の異能《独歩吟客》で造った偽造手帳だ
故に、この手帳からは三人の嘘を見破る事が不可能
Aは二人の演技を見ながら、偶にちらと理事官を見る
「我々は故あって秘密裏に貴国の保安情報を必要としています。
貴国諜報機関が把握している、本邦内の爆弾製造技術者の情報を供与して頂きたい。
これは国家保安上の重大事項です。迅速に御願いしたい」
「そ……そんな無茶な」
「無茶は承知です。貴官がご存じないのであれば、権限を所有する方に取り次ぎ願えますか」
「……そう簡単には」
国木田はさらに畳み掛ける
「一刻を争う事態です。百名以上の人命が失われる瀬戸際なのです」
百人以上の人命、と聞いて理事官の顔色が青褪める。善人では在るのだろう
「す、少しお待ちを」
その後、理事官は備え付けの電話で何処か(多分、公安部長辺りだろう)に連絡をした
A(……私の出番かな〜)
Aは国木田と理事官の話を聞きながら、手許の万年筆を弄る
国木田の嘘が詰まってきた。そろそろ彼に任せていると、危険だ。バレる可能性が上がる
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森ミク(プロフ) - ルムさん» わわっ、本当ですか…!嬉しいです、有難う御座います! (2020年9月4日 19時) (レス) id: c515606cc3 (このIDを非表示/違反報告)
ルム - 森ミクさんの作品愛読させてもらっています。全部 (2020年8月30日 18時) (レス) id: cfcfb7c0ae (このIDを非表示/違反報告)
森ミク(プロフ) - ルムさん» 有難う御座います。一日一話更新出来るように頑張りますねっ…! (2020年8月26日 18時) (レス) id: c515606cc3 (このIDを非表示/違反報告)
ルム - 頑張ってください!!! (2020年8月26日 6時) (レス) id: cfcfb7c0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:森ミク | 作成日時:2020年8月25日 19時