Life of BTS はじまりの鐘 (ページ7)

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4. バタフライ・エフェクトページ7

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「はい、これ。推薦状」

「本当にいいんですか。僕なんかが行って……」

関西空港のロビーで、Aはチケットを片手に俯いた。

「なんだ、急に？」

「……」

「親の反対を押し切ってまで、行くと決めたのはお前だろ」

「……確かにそうですけど」

「人生を変える分かれ道だ。後悔しないよう、全力でやってこい」

先生が、ぽんとAの肩を叩く。

――Aの実力を見れば、たとえ体が女であろうと欲しがるはずだ。

韓国のK-POPアイドルグループ、防弾少年団を作る為のオーディション。
その知らせが、かねてから懇意にしていた者の紹介で届いたのは２か月前のこと。
当初から、先生はAの推薦を考えていたと言う。

居場所を掴んで来い。

その先生の言葉が、傷心のAに火を着けた。

女でも、男らしく生きていける場所。

いくら実力があろうと芸能界は無理だと決めつけていたAにとって、韓国のアイドル業界など思い付きもしないものだった。

韓国のアイドルはどの世界よりも実力とカリスマ性が求められる。
若くしてダンスの才能を発揮し、学校では密かにファンクラブができてしまうようなAは、まさに打ってつけの存在だと、先生は言った。

自信はない。
ましてや、女であり男である自分の存在が受け入れてもらえるかなど行ってみないと分からない。
ダンスを見せたとて、プロフィールの時点で帰れと言われるかもしれない。

それでも、今持てる自分の力を最大に出すことができれば……。

(居場所が、できる)

ありのまま、自分らしく生きていく場所が。