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午前の練習が終わり、メンバー達は休憩室に集まっていた。
ソファに座り、ウォークマンで何かを聴いているA。
イヤフォンからは激しいギターとドラムの音が漏れている。
ジミンが肩を叩くと、Aは静かにイヤフォンを外して彼を見上げた。
JM「レン。僕たち今からコンビニ行くけど……一緒に来る？」
「いや、いいよ」
手短くそう答えたAは、再びイヤフォンを取り付け音楽の世界に入ってしまった。
***
TH「さすがにアレは落ち込むよなぁ……」
コンビニへ向かう最中、暗い雰囲気を纏うメンバー達の気持ちを代弁するかのようにテヒョンが言う。
JN「俺でもセンター貰えたっていうのに……まさか、あのAが一度もセンターに出れないなんて」
曲のポジション決めをしていた先ほどのこと。
２コーラス目のフックに入るまで、Aがセンターに呼ばれることなく時間が進んでいた。
だが、２コーラス目のフック……要するに２回目のサビは、Aが歌っているパートだ。
おそらくそこはAがセンターを務めることになるだろうと、誰もが疑わなかった、その時。
――次のセンターは……ジョングク。お前だ。
トレーナーの口から出た名前は、どう言うわけかジョングクだった。
これにはジョングク自身、そして他のメンバー達も驚きを隠せなかった。
JM「A……なんで抗議しなかったんだろう」
一番驚いて、一番ショックを受けたはずのAは、特に表情を変える事なくトレーナーの言葉を受けれ入れていた。
JK「……“女”。だからじゃないですか」
ぽつりとジョングクが呟いた一言にメンバーたちは少しだけ眉を寄せるも、その言葉があまりに的を突いているような気がして何も言えない。
JK「“女”がボーイズグループにいるってだけでもおかしいのに、センターに出るなんてもってのほかです」
Aがここにやって来てから既に６か月が経った。
最初こそ受け入れることに苦労したメンバー達も、今はAの存在を認めている。
“男”だと完全に認識したわけではないが、Aにはそこを超越するアーティストとしての才能がある。
その才能は、例えAがガールズグループに入ったとしても絶対に馴染まないもの。
ボーイズグループにおいてこそ、必要とされる才能だ。
だから、なぜジョングクはここまでAを拒絶するのか、メンバー達は不思議でしょうがなかった。
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作者名：グミカン | 作成日時：2019年10月14日 2時
