Life of BTS はじまりの鐘 (ページ43)

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２月。
この日、スタジオに集まったメンバー達のもとに、ある決定が下された。

「デビュー曲のパフォーマンスポジションが決まった。今から言う位置に、呼ばれた順から並んでくれ」

トレーナーの口から出たその言葉に、８人のメンバー達は表情を引き締める。

「まずは曲の出だし……センターは、ラプモンだ」

呼ばれたナムジュンは、「デ、」と短く答え、言われた位置に着く。

「次、センター上手。ジミン」

するとジミンは一瞬意外だという風なそぶりを見せ、だがすぐに背筋を張り位置に着いた。

「次、センター下手。ヴィ」

次々と名を呼ばれたメンバーが位置に着いて行く。
やがて残るは、フロントロウの上手と、バックロウの上手だけとなった。

「次、フロントロウ上手。……ジョングク」

ようやく名を呼ばれ、ジョングクはほっと息を吐くと同時に最後に残されたAに一瞥を送る。

「最後、バックロウ上手……レン」

Aは特有の少しだけハスキーがかかった声で、短く返事を返す。
そして戸惑う様子もなく立ち位置に着いた。

「曲の出だしはこのポジションで行く。
分かっているとは思うが、観客は前列後列関係なしにお前たちを見ている。プロになるならば、後列だからと言って気を抜いちゃダメだぞ」

トレーナーの言葉に、バックロウ下手に立つジンがごくりと固唾を呑んだ。

それから、曲に合わせての位置決めが始まった。

アイドル業界では基本的に歌っている人がセンターに来る、というのが常識だ。
K-POPグループのように、歌唱担当、ダンス担当などの括りが明確になく、全員歌うのが基本の場合は、全員が一度はセンターに来るということ。

デビュー曲はラップパートが多く、ラップ担当のナムジュン、ユンギ、ホソクは必然的にセンターが多くなる。
そして意外にも１コーラス目のバース部分で比較的長めのラップを担当する事になったジョングクも、センターの割合が高い。

低い声質が特徴で、フック前のおかず的要素を多く担っているテヒョン、広い声域を持ちバックコーラスからメインまで幅広くこなすジミンも、それなりにセンターの機会は与えられた。

ジンに関しては、あまり歌唱パートが多くない上にダンス経験も浅く、今回の曲ではこれと言った見せ場がない。
ゆえにセンターポジションは少ないが、自身の歌唱パートはセンターを務めることとなった。