伯爵は平民に恋をする〜壊れた純愛〜【憂国のモリアーティ】 (ページ8)

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8話ページ8

〜アルバート〜

アルバート｢ふぅ。すごく良かったよAさん｣

乱れた髪を直しながら声をかけるも反応がない

気を失っているわけではないが、私とは言葉も交わしたくないということか

アルバート｢Aさん。そろそろ式の時間だから行こう｣

ドレスを直して立ち上がらせても、私を見ようとはせずに溢れる涙を必死に拭うだけ

アルバート｢そんなに心配しなくても参列者はいない。僕達の愛の証人は僕達だけで充分だ。面倒な進行は飛ばして指輪交換と誓いのキスだけでいいよね｣

｢い、嫌ですっ！！｣

よくやく喋ってくれたかと思えば女性とは思えない力で引っ叩かれ睨まれた

本気で身分を気にしていたらここまではしない

Aさんは私を伯爵ではなく男として見ていてくれたのか

神なんてそんな不確かなものは信じたことはないが、この世界に不変があるとすれば私達の愛

指輪の交換をすませキスをすると、完全に私達を遮る邪魔(障害)はなくなった

アルバート｢Aさ……。A。もうこんな所に用はないから帰ろう。初夜が楽しみだね｣

これ以上は暴れられないように抱き上げた

Aとの新婚生活を夢見て新居も買った

用意していた馬車にAを乗せて、勝手に降りられないように手足を縛った

まさか私が御者として馬を引く日がくるとは

何事も勉強しておいて損はない

アルバート｢お待たせA。窮屈な思いをさせてごめんね｣

ウェディングドレスのままだからか、何だかいけない事をしている気分だ

屋敷は家具付きだったが全て買い直してAの好みに合わせた

こんなにも有意義な買い物があるとは知らなかった

Aのことを考えながら何かをするのは楽しくて、つい時間を忘れてしまう

ベッドにそっと降ろすと逃げようとするから力で押さえ付けた

アルバート｢さっきよりももっと、気持ち良くさせてあげるからね｣

事実を作るためとはいえ無理やりシたことは反省している

だからこそ、初夜はムードのあるものにしたい

キスだけで緊張を解していくと身体の力は抜けていく

この世界は全てが作り物(偽物)でできている

そんな中で私の愛だけが本物

Aの家族は5年前に亡くなり、ずっと天涯孤独だった

そんなAの家族に私がなれる

もう寂しい思いはさせない

私だけが特別な存在になれる

それ以上に名誉なことはない

アルバート｢可愛いよA。愛してる｣

fin