7話 ページ7
〜アルバート〜
アルバート｢ごめんねAさん。顔に傷をつけた責任は取るから｣
音を立てて傷口にキスを落とした
アルバート｢安心していいんだよ。連中はちゃんと僕が始末したから。Aさんに害をもたらす輩はもういない｣
｢あ……の……。一つだけ、教えて下さい……｣
アルバート｢一つと言わず二つでも三つでも。何でも聞いて｣
｢彼は……生きて……いま、すよね……？｣
アルバート｢………。僕達はこれから大事なことをするんだよ？そこに男の話題なんて不粋じゃないかな｣
｢私の婚約者は！！｣
アルバート｢元、婚約者だよ。はぁ……彼は“ちゃんと事故として死んだ”｣
｢いつ……｣
アルバート｢僕がAさんに想いを伝えた日。実を言うとね。見ていたみたいなんだ。彼は僕達のこと｣
だから、というわけではない
相手の素性なんていくらでも調べられる
その手間が省けたというだけ
遺体が発見されたときの事を考えて外傷はつけられず、あの手紙を書かせるのには少々苦労した
手紙さえ送ってしまえばあの男に用はない
なるべく遠くの町に捨てなければならないのは骨が折れたが、Aさんとの未来を思えば苦ではない
｢あ…っ、あぁ、どう……して……？私はただの平民で、アルバート様がそうまでして私なんかに……｣
アルバート｢愛しているからだよ。ずっと、ずっと……愛してた。君だけを心の底から｣
｢私はアルバート様の気持ちには応えられないと……ハッキリ……｣
アルバート｢Aさんが言ったんだよ。僕が先に告白していれば、僕と付き合ってくれると。だから邪魔者を排除した。それだけだ｣
｢私は考えると言っただけです！！｣
アルバート｢意味は同じだろう？きっとAさんは僕を選んでくれる。結ばれる運命でしかないのだから｣
｢違う……。悩んで考えて、それでもやっぱりアルバート様とはお付き合いなんて出来ません。貴族様と平民が一緒になるなんて……｣
アルバート｢っ……！！どうして！！身分なんてものに囚われる。僕達の愛には何の関係もない｣
下半身に手を持っていくと綺麗に手入れされた爪が私の頬を引っ掻いた
アルバート｢Aさんはまだ現実を受け入れられないんだね。でも大丈夫だよ。愛なんてものは後からついてくる。今はまず事実を作ろうか。優しくするから全部僕に任せて｣
手首を縛って泣き叫ぶAさんと一つになった
清らかで純潔だった身体は私の色へと染まる
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作者名：まゆ
| 作成日時：2021年9月29日 21時
