【アルスマグナ】勝手に親衛隊 短編集

『美女による野獣惚気事情』 朴ウィト ページ33

突然だけど、私の彼について話をするわ
え？そうよ？惚気たいだけよ？
もう！いいから黙って聞いて！

私の彼の名前は朴ウィト
九瓏ノ主学園高等部の1年B組ダンス部アルスマグナに所属していたの
日本と韓国のハーフなんだけど、日本生まれ日本育ちの子だから、韓国語は挨拶程度しか出来ないみたい
ダンス部のパワフルウザい担当で、ダンスをしてる時のみにならず普段からウザいって周りからよく言われてるんだけど、ウザいは褒め言葉ですってドヤ顔で受け取る程の精神力にダンス部で鍛え上げた身体と妄想力の逞しさは誰にも負けないって本人が言ってたわ(腕相撲で負けてたけど)

そんなおバカの塊である彼に惚れたポイントは、彼の大型犬の様な愛らしさと天性の明るさにどんな壁にぶち当たってもめげない強さ
そして何より、友人が落ち込んでいたら親身になって話を聞き、言葉足らずながらも一生懸命に励ましたり、グループ内の雰囲気が暗ければ、自分から笑顔を見せておバカな事をして場を盛り上げたりする彼の優しすぎる心に、魅力に惹かれて私から告白した

当時の彼は人間違いじゃないですか？！と大層驚いた様子で叫んでいたが、彼の魅力について私が語り始めると顔を真っ赤にして今度は、もう許してくださいと叫んだのは今でもしっかり覚えている

すっかり風の噂で広まり、周りからは
『現代版 美女と野獣』
と呼ばれている
それを初めて知った時、美女について否定した私に彼は、彼から見た私の魅力を語り始めたのでそれ以来は噂自体に触れていない
ついでに言うと彼は野獣についてダンス部の先輩から一度からかわれた事があるらしいが、彼の脳内では褒め言葉として変換されたらしく、いつだったか私に
「アキラ先輩に野獣って褒められたんだー！」
と自慢気に話したのは今では古い記憶になってしまった

そして今日、私はおバカな野獣と新しい関係を築き上げる

「本当に僕でいいの？」
「ウィトがマリッジブルーになってどうするの？
それに私の隣にはウィトが居ないと絶対嫌よ？」

マリッジブルーな野獣を優しく諭せば、暗かった顔は一変して太陽の様な明るい笑顔に変わる

「行こうウィト」
「うん...ねぇAちゃん」

彼が懐かしい呼び方で私を呼ぶ

「なに？ウィト君」

それに合わせて懐かしい呼び方で返せば彼らしい言葉をくれた






「幸せになろうね」
「うん、幸せになろう」


私、今日から朴 Aになります

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