とある深夜 ページ6
side.satomi
時刻は日付が変わりそうな深夜、昨日録り溜めした動画の編集中。
――の筈が。
いまいち集中出来ていない。
ストックはまだあるからそこまで切羽詰まっている訳じゃないけど、それでも出来る内にしておかないとならないのに。
このままでは不味いと無理矢理意識を集中させていたからか、目の奥が重い気がする。
はあ、と深く溜息を吐きながら眼鏡を外して椅子にもたれ掛かる。
―――昼間の打ち合わせの時。
スマホから聞こえた小さな笑い声。
澄んだその声に俺は聞き覚えがあった。
いやいやいや、まさかな。
はじめは気のせいだと自分に言い聞かせてみたが、考えれば考える程他人の空似とは思えない。
随分と長い付き合いとなった今となっては遠慮がなくなったのか、
結構豪快に笑うもんだから記憶の片隅に追いやられていた。
初めて話した時に、綺麗だと思ったあの控えめな笑い方。
YouTubeを開いて昼間の曲を流す。
ヘッドホン越しに聴こえる歌声に集中する。
――――――これは俺の記憶違いじゃあないな。
一度腑に落ちてしまえばもう、あいつの声にしか聴こえない。
歌ってみたを上げてて知らない奴なんていない位有名な歌い手。
…なんで今まで気が付かなかったんだろう。
(これはなーくんに恨まれるかもしれん、)
はは、とつい渇いた笑いが零れる。
でもまだ俺の憶測でしかない。本人かどうかは確定した訳じゃない。
俺がすとぷりとして活動している事を知っているあいつはそれでも何も言わなかった。
もしかしたら何か言いたくない理由があるのかもしれない。
「…でもなあ、スッキリしないのは気持ち悪いし」
思い立ったが吉日、俺はLINEを開いて"A"の名をタップする。
"明日空いてたら夜通話しようぜ"
と一言送れば、起きてたのであろう即座に既読が付く。
"よいぞ"とるぅとのスタンプが送られてきてつい笑ってしまう。
こいつ立派にリスナーかよ。笑
得意の既読無視をかましてアプリを閉じれば、俺は眼鏡を掛け直し再度パソコンと向き合いはじめた。
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月 - 待って読み途中でクロの正体当てた私凄くn((殴スミマセンデシタ。凄く面白いです! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 9562a43608 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - へかーてぃあ@夢見月さん» またまたコメントありがとうございます!わたしが推されるのなんぞ勿体ないの極みですので是非今後とも推しくんを推していってくださいませ...!!! (2020年8月3日 0時) (レス) id: 3018b56d1a (このIDを非表示/違反報告)
へかーてぃあ@夢見月(プロフ) - あッ、待って下さい!何か作品の神度が上がってる!!え、ぽっぽ推しになりたい!(切実) (2020年7月30日 14時) (レス) id: 2de6a67b50 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - $さん» またもやコメントありがとうございます...!ありがたいことにたくさんの人に読んでいただけて嬉しいかぎりです(*´v`*)これからの流れも楽しんでいただけると幸いです! (2020年7月23日 16時) (レス) id: 3018b56d1a (このIDを非表示/違反報告)
$ - なんか、有名になってる…。凄い!!夢主ちゃん、ついに加入…?更新待ってます (2020年7月21日 15時) (レス) id: d5f4fe44f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽっぽ | 作成日時:2020年5月24日 5時