趣味で歌い手やってたんですが、【stpr】

白旗 ページ22

side.you









…………………は、え、









言われた言葉を頭が処理するのに時間が掛かってしまった。





いや、処理が出来ても理解が出来ない。


思考が追いつかない。







斜め向かいの彼は今、なんて言った？









『え、っと………なんて？』




何かの間違い、そうであって欲しいと微かな願望を抱きながら聞き返す。

が、






な「一緒にすとぷりで活動しようよ」




どうやら聞き間違いではないようだ。






いや、いやいやいやいや、どういうこと…？


ななもりさんの考えている事が分からない。やっぱり理解が出来ない。





『…なにかの冗談、』

な「俺は本気です」



食い気味に否定されて言葉に詰まる。






『だってわたし、女だよ…？』

な「すとぷりはリスナーの皆を笑顔にしたくて結成したグループだよ。そこに男も女も関係ないと思う」

『、ななもりさんが良くても他のメンバーが』

な「俺が前からずっと勧誘したがってたのは皆知ってるし、Aちゃんの実力は皆認めてくれてる」

『…リスナーさんが受け入れてくれないかも』

な「そんなのやってみないと分からない。でも俺はリスナーが受け入れてくれるって信じてるから」









――――――だから、一緒にかまそう？









真剣な眼差し――これは、本気だ。






もう手札がない。



どうしていいか分からずさとみくんに目線で助けを求めるが、"諦めろ"とでもいうように肩をすくめられる。


そもそもの所、今日この場を組んだ彼ははじめからこちらの味方になるつもりはないんだろう。








助け舟は出ないしどう言っても論破される。




困った…逃げられない。









『とりあえず、考えさせてください……』









――――――もう、白旗です。




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