あざと男子 ページ19
side.you
二人とも落ち着いて欲しい。
ははは、と渇いた笑いをあげながらやんわりと握られた手を剥がし、ななもりさんを椅子に座らせる。
大人しく言うことを聞いてくれはしたけど、未だ興奮冷めやらぬ様子のななもりさん。
やめて、そんなキラキラした瞳で見ないで…!
今までの人生でこんなにも熱い視線をもらった事なんてないに等しくて、どうにも居心地が悪い。
さとみくんは飽きずに笑い続けている。
いい加減にしろ仲介人。
先程は靴を小突いただけだったが、今度は脛を蹴る。
「痛って!」と身を屈ませて脛をさすりながら恨めしそうにこちらを睨んでくるが知ったこっちゃない。
ふん、と鼻を鳴らす。
『とりあえずさ、』
そろそろ注文しようよ。
きょとん、とする二人。
しかし、すぐに「確かにw」と笑いだし、メニューに手を伸ばし出した。
ひとまず一時休戦です。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
な「さて、」
オーダーを取り終えた店員さんが部屋から出ていくのを眺めているとななもりさんが声を上げた。
な「まさかmonoさんと話が出来るとは思いませんでしたよ」
真っ直ぐにこちらを見据えてくる。
どうやら先程までの興奮は落ち着いたみたい。
『あの…』
な「はい?」
『出来ればその、あまりmonoとは呼ばれ慣れてないので』
自分で歌い手名を決めたものの、面と向かってその名を呼ばれた事なんてないからなんとなくこそばゆい。
『Aって呼んでくれませんか…?』
そう言うと笑顔で「はい、Aさん」と呼ばれる。
ななもりさん、優しい人だ…。
な「あ、じゃあ俺からもひとつ」
『はい』
な「敬語、外して欲しいです」
『え』
な「俺もさとみくんとみたいに仲良くなりたいな」
ダメ…?と眉尻を下げて首を傾げてくる。
んんん、その仕草は反則では…?
ダメだよ、そんなん断れるわけがないじゃんか。
『ええと、ななもりさんも外してくれるなら…』
な「なーくん」
『…はい?』
な「だから、なーくん」
…あ、なるほど呼べってことですか。
『なーくん』
声に出すとその名の持ち主は満足げにへらりと笑みを浮かべた。
――――――――この年下男子、あざとい。
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月 - 待って読み途中でクロの正体当てた私凄くn((殴スミマセンデシタ。凄く面白いです! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 9562a43608 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - へかーてぃあ@夢見月さん» またまたコメントありがとうございます!わたしが推されるのなんぞ勿体ないの極みですので是非今後とも推しくんを推していってくださいませ...!!! (2020年8月3日 0時) (レス) id: 3018b56d1a (このIDを非表示/違反報告)
へかーてぃあ@夢見月(プロフ) - あッ、待って下さい!何か作品の神度が上がってる!!え、ぽっぽ推しになりたい!(切実) (2020年7月30日 14時) (レス) id: 2de6a67b50 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - $さん» またもやコメントありがとうございます...!ありがたいことにたくさんの人に読んでいただけて嬉しいかぎりです(*´v`*)これからの流れも楽しんでいただけると幸いです! (2020年7月23日 16時) (レス) id: 3018b56d1a (このIDを非表示/違反報告)
$ - なんか、有名になってる…。凄い!!夢主ちゃん、ついに加入…?更新待ってます (2020年7月21日 15時) (レス) id: d5f4fe44f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽっぽ | 作成日時:2020年5月24日 5時