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山田が落ちた

咄嗟に伸ばした手は空を切り

スローモーションのように山田とフェンスが見えなくなった



「山田!」



そう叫んでも答えなんてやってこない


真っ白な頭で思うがまま下を覗く

山田が落ちた真下には、大きな常緑樹がパラパラと枝や葉を地面に落としながら堂々と立っていた


“俺のせいだ”


そんな罪悪感を胸いっぱいに抱えたまま、翼を広げて屋上から降りた



「涼介!」



窓からの声に咄嗟に身を隠す

誰かが2階の窓から下を覗き込んでいるようだ

幸い山田に注意がいってて俺には気づいてなさそうだが…

これでは俺が山田の元へ駆けつけることができない



「救急車…!」



聞こえたそんな声


あぁそうだ

この世界には救急車っていう凄いもんがあんだっけ?


なんて八つ当たり気味に思った



「涼介!涼介!」



救急車のサイレンが聞こえるまで、山田の名前がサイレンのように叫ばれていた

それを横目に、俺はその場を去った…









なんて事は無い


空から救急車を目で追い、山田が運ばれた病院へ向かった

そして使われてない部屋の窓から病院内へ入り込んだ









面会時間が終了して消灯の時間

暗くなった病院内で、見回りの看護師にバレないようにそぉっと山田の病室へ向かう



「山田山田山田……あ、ここだ」



“山田涼介”と書かれた個室の病室にノック無しで入る

その部屋には、酸素マスクをつけて綺麗に眠っている山田がいた




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作者名: | 作成日時:2019年5月3日 2時

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