第六十三話(みかぜ ページ18
「へへ、せやろ!」
「うん。じゃあもう1回通してみよっか」
「ええ、わかったわ」
何度か調整をしたあと、私と蛍ちゃんは順調に飲み込み完璧に踊れるようになっていた。
だが、蜜柑は動画を見ながらなら踊れるけど、見ていない状態だと途中で振り付けを忘れてしまっていた。
「ど、どうしよう」
「...これは完璧に私の落ち度ね。」
「うぅ...ごめんなぁ蛍ぅ、A」
「ま、まだこれから時間あるよ!だから大丈夫!これから覚えていこう!」
私がそう言うと、蜜柑は感激しながら私に抱きついた
「ふ、A〜!!!」
「うわっ、びっくりした」
「さ、そんなことしてないで練習よ練習」
「ス、スパルタや...」
「蛍ちゃんもう完璧だもんね」
たわいない話をしていると、急に蛍ちゃんから名前呼ばれた
「...A」
「え、あ、なにかな、蛍ちゃん」
「私たち、もうチームメイトよ。呼び捨てでも構わないわ。蜜柑に至っては最初から呼び捨てだし」
「えっと...」
「そういえばずっと蛍ちゃん呼びやったなA」
「そうだね...」
「でも不思議と距離感は感じなかった。私と誰かを重ねてるんじゃないかしら」
その言葉に、ドキッとした。
図星だったからだ
「...少し知り合いに似てたから、かな」
蛍ちゃんは少し葵ちゃんに似ている。性格的な事ではなく、当てはまるというだけだが
可愛くて少し変わってて自分に自信があるところがとても似ている。
別の人ってことは分かってるつもりだけど、やっぱりみんなと離れたのが寂しくて、ずっとずっと思い浮かべてる。
それはよくないことなのに。
「正直、私はその人と重ねられることを良く思ってないわ。私はその知り合いじゃなくて「今井蛍」よ。区別は付けて欲しいわ」
私はその言葉を聞いて思わずクスリ、と笑ってしまった。
「うん、そうだね。あなたは今井蛍。
あの子じゃなくて、今井蛍だ。」
自信満々に答える蛍はとても輝いて見えた
「ごめん!...改めてこれからよろしくね、蛍」
「ええ、こちらこそよろしく。A」
「??どういうことや?」
「蜜柑は分からなくてもいいわ。」
「ふふ、続きやろっか」
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