第十六話 ページ18
♡♡♡
翌日の朝、寮から抜け出したことがバレることは無く、Aは気持ちの良い朝を過ごして…
いなかった。
A「…寝れなかった」
今までマゴル城以外で寝たことが無かったため気づかなかったのだが、Aは自分の枕じゃないと寝れない感じの人なのだろう。
A「…お父様、お兄様」
Aの頭の中にふと家族の顔が映った。
私をここまで育ててくれたお父様。
私に勉強や魔法を教えてくれたお兄様達。
顔は分からない6番目のお兄様。
名はマッシュ・バーンデットと言っていただろうか。
セルからやっと見つけたと報告を聞いたとき、私は物凄く嬉しがった。
「マッシュ兄様に早く会いたいな」
そんなウキウキとした気持ちで実験していたらこの様だ。何たる失態。
Aはいわゆるホームシックを起こしたのだ。
すると、扉がノックされた。
相澤「よし、起きてるな」
A「おはよ〜ショウタ！」
悲しい顔を隠すように咄嗟に元気に挨拶をする。
相澤「…年上には『さん』をつけろ」
相澤はそう言うと、手に持っていた紙袋を渡した。
相澤「お前が昨日着てた服だ。洗濯したから着替えとけ」
A「わぁ、ありがとうね」
扉を閉じる必要はないが、一応閉めておく。
Aは机上に置いてあった自分の杖を手に取り、自分に向けて魔法をかけた。
A「よし！これで完璧！」
Aの着ていた服はあっという間にいつもの服に早替りし、先程来ていた服は紙袋に入っていた。
A「終わったよ〜」
ガチャっと扉を開き、待っていた相澤に声をかけた。
相澤「うぉ、早いな」
まぁいい。そう言うと、相澤は着いてこいと言わんばかりに先を進んだ。
着いた先は食堂で、朝食が用意されていた。
A「…(食欲無いな)」
朝のホームシックもあり、食欲は無いものの、折角私のために用意されたものだからと、全て腹に流し込んだ。
相澤「俺はこの後学校に向かうが、お前はここから出るなよ」
自由にさせとく訳にはいかない。と睨まれた。
A「わかったよ、部屋でゴロゴロしてればいいんでしょ？」
相澤「そうだな」
相澤はAをもう一度部屋まで送ると、学校へ向かった。
Aは相澤が見えなくなったのを確認すると、この前案内されたお手洗いへと向かった。
A「…ウェ、気持ち悪」
朝食べたものを吐き出してしまったことには申し訳無さを感じる。
A「まぁいいや。今日はやりたいことあるんだし♪」
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作者名：arisu | 作成日時：2024年3月10日 20時
