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「此方としては色々狂わせられて最悪なんですが」
「それはすんませんねぇ。
この前たまたまモールに行ってたらあの人がいたもんで。此処しかねぇなって思ったんすよ」
「…まぁいいですけど。貴方がヘマをしない限りは」
「しませんよぉ?
――俺だって、ある程度は成長してますし。おひいさんのお陰でなんとかなってますし」
「…ヘマをしないことを願っていますよ」
「はいはい」
ここまで釘を刺して置けば、恐らく大丈夫であろう。
二人が何を
どれだけ掛かっても、絶対に。
「――んで、あの人とのライブはいつやるんすか」
「嗚呼、それはなんですが。
世界中どこでも見れる配信も同時に行おうと考えております」
「…場所、月日は?」
「場所は此処から一番近いドームで。月日は再来月の終わりあたりにやる予定です」
「抽選はどうするんですか」
「既に発表済みです」
「…あの人には」
「言っておりません」
「…そうっすか。批判とかは来てないんですか」
「今の所は確認しておりません」
…まぁ、来ていたとしても言う訳がありませんけどね。
そもそも、スターライト学園で人気があった彼女が此処にきて批判されるのはさすがに可笑しい。
それに、どうしてかジュンに似て調べてから口を開くファンが多い。だから、彼女のことを知っていると言っても過言ではないだろう。
「――嗚呼、もうちょっと聞いてもいいっすか?」
「はい、どうかされましたか?」
「あの人――燈咲Aって、前の学園ではどんな人だったんすか?」
「嗚呼、それですか。
確か、かなりの人気を得ていたようです。しかし、何か彼女に不幸が訪れてしまったらしい後はファンの前に姿を見せることが滅多になくなったようです」
「…不思議な人っすね。今はあんなに元気そうなのに」
「そう言われれば、可笑しいですね」
…本当は知っている。
彼女に舞い降りてしまった不幸も、どうしてファンの前に姿を現さなくなったのかも、元気になった理由も。
だが、言ったところで何になる。
ジュンが知った所で、彼女自身が思い出せぬ記憶を話され混乱するだけ。なら、話さないのが良策だろう。
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作者名:亜莉須 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/arisu2wrwr3/
作成日時:2020年3月9日 18時