【殺戮の天使】前世持ちオタクの興奮

四十三話　付き添い ページ5

「…………私、心が見えるから意味ないのに」

「ん？ごめん、何か言った？」


もごもごと何か小さく呟くリーファに、首をかしげる。


「いえ、何でもありません」


……私の悪口じゃないといいな。
「この女に使えなきゃいけないとかマジだるー」とか、言ってないといいな。

心配になりながらも、情報源は彼女しかいない。
早速質問を投げかける。


「じゃあ質問だけど、今原作のどこまで進んでる？
ノアはもうビルに入った？」

「はい。ちなみにエナドが殺されて三日経ちました」

「へぇ、そんだけしか経ってないんだ……」


それなのにもうノアはビルへ……。
私が殺されたのはビルに行く直前だったらしい。

確かに、鎌を持っていた。


「転生はすぐ行われますからね。
今回は転生ではなくトリップに近い様ですが」

「体用意してくれたもんね、時間ないからって。
後でお礼言っといてくれるかな？」

「……はい」

「ん？」


リーファは一瞬躊躇い、間を開けた後小さく返事をした。

これは何かあると感づかせるには十分だ。
もしかして確信犯？

私は首をかしげる。

後でそれは聞くとして、今は現状把握が先だ。


「ってことは、早くしないとレイがビルに連れられて、
本編始まっちゃうよね」

「A様もビルへ行かれますか」

「あたぼうよ、そのために神様も体用意してくれたんだと思うし」


時間がないといってたのは、おそらくこういうことなのだろう。
今の私には理解できる。


「では私もお供します」

「リーファさんはお留守番」

「なぜですか！？」


また表情が崩れたリーファを見て言い放つ。


「私一人でもビルに行く理由をこじつけるの大変なのに、
どうやってリーファを連れて行けっていうの」

「え……あ……」


考えていなかった、と。心の声が聞こえてきそうだ。

あとさらっと呼び捨てにしてしまったが、
咎めるようでもないのでこのままでいこう。


「A様の付き添いとして！」

「私、子供じゃないんだけど」


ジト目でリーファを一瞥した後、ある案を思いつく。
……付き添い、ねぇ。

悩みどころだが、今はこれ以上いい案が思い浮かばない。


「カウンセラーとしてレイと接触して、
レイの付き添いとしてビルに行けないかな？」

「そして私はその付き添いに」

「付き添いの付き添いっておかしいでしょ」


リーファってもしかしなくても天然なのかな。

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