【殺戮の天使】前世持ちオタクの興奮

五十九話　術 ページ23

リーファがこういうリアクションを取ってくれるようになったのも、
私を少しは認めてくれたからだろうか。

何はともあれ、気を許してくれたみたいでうれしかった。

あの衝突(？)が良かったのだろうか。

まだ少ししか一緒にいないが、きっとこれからもっと仲良くなれるだろう。
一緒に外出したり、できたらいいな。

少し頬を緩ませた。

……フラグは立ててないからな。


「そうです、もういつでもビルへ出発できるように、
準備をしておきましょう」

「準備って？」


着替えとか持っていくわけでもあるまいし。
首を傾げた私に、リーファはほんの少しだけ口角を上げた。

今は胸こそそらしていないものの、やはり得意げだ。


「見ていてください、術を人間が見れる機会なんて、
一生どころか転生したってこの先ほぼないですからね」


術？随分と厨二心がうずく響きだ。
困惑半分、好奇半分で身を乗り出した。

リーファは両手を組み、目を閉じると、
どこの言語かわからないが、何か言い始めた。

「リザネドハッツェイランダオメイガ……」みたいな感じで、
おそらく呪文のようなものだろう。

すると、肩幅に開いたリーファ足元に、魔法陣のような文様が浮かび上がる。
それはだんだんとまばゆい光を放ち始めた。


「おお……」


これは、魔法的な奴だろうか。流石神の使いだ。
少しあこがれるが、人間の私には使えないのだろう。

リーファの髪が重力に逆らってふわりと浮いた。
下から風が吹いているみたいだ。

と、何か言っていたリーファが黙る。

眉根にしわが寄っているあたり、
この魔法的なものの成功が難しくなっているのだろうか。

概念も、そもそもこの現象が何なのかすらわからない私には、
ただ疑問符を飛ばすことしかできなかった。


「……我が主の命による創造です。許諾しなさい」


強い口調で、今度はこの国の言葉で、リーファは言う。

誰かと会話してる？
テレパシー的なやつ？

ファンタジー脳だから可能性は思いつくけど、正解は全くわからない。
おとなしくリーファがこの術とやらを終わらせるまで待つことにした。


「……実行へ移ります」


暫く言い合うように何かいていたリーファだったが、
ようやく許可が取れたらしく、何かを実行するらしい。

この術はどうやら、誰かに許可をもらわないとできないようだ。

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